この世界で生きていく absk ( all ) ページ25
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二人寄り添って新たな年を迎える。
「あべちゃん！あけおめ〜！」
「ん、今年もよろしくね」
歳を越したことに興味も示さず俺のパジャマの袖を弄るあべちゃんは、声をかけるとふにゃりと柔らかく笑って唇にそっとキスを落とした。
「さくま、」
「なぁに？あべちゃん。」
「今年も、おれだけのさくまでいてね。おれ、さくまがいなきゃ生きてけないから。」
あぁ、可愛い。
彼がたまに見せる独占欲。普段は俺に気遣って見せない愛しい感情の塊を見せるのが俺は嬉しくて堪らない。
あべちゃんだけを見つめる。
あべちゃんも、俺だけを見つめる。
この世界に2人しかいないような感覚になるこの瞬間が大好きで、愛おしいという感情が溢れてたまらなくなってしまう。
俺の頬に君の少し焼けた肌が添えられて、目線がぶつかる。
その瞳に吸い込まれるように─────
瞬間、聞きなれた音が聞こえてくる。
ふふっと少し嬉しそうに、楽しそうに笑ったあべちゃんは俺の頭を撫でると音の出元であるスマホに手を伸ばして慣れた手つきで画面をスライドさせる。
「はいもしもし照？うん、佐久間じゃないよあべだよ。あは、いいようん、OKわかった今から行くね？はーい、ありがとう。」
「タイミングが悪い……」
「あっはは、いつもの事なんだからそろそろ慣れな？笑」
「んもー！分かってるよぉ嬉しいけどね！」
ベッドに寝転がってバタバタしていると、はいはいと軽く受け流されて目の前に衣服が置かれた。
顔を上げるともう既に着替えたあべちゃんがいて、その首には見たことの無い桃色のマフラーが巻かれている。そして用意された服たちの横には真新しいカーキ色のマフラーが。
思わず顔を見上げれば照れたように笑って「改めて佐久間、これからもよろしくね？」こてん、と首を傾げた。
「あぁもうあざとい！！」
逮捕だァ！と言って抱きつけば逮捕された張本人は今年初逮捕だねぇ、なんてふわりと笑って俺の背中をポンポンと叩く。
服を着てもう一度勢いよく抱きつけば、よろけることなく抱きとめられ2人、目を合わせて笑い合う。
「じゃあ行こっか佐久間。」
伸ばされた手に触れて、繋いで。
こんな時間が続けばいいとすら思った。
「ふたりともやっと来たな」
呼び鈴で現れたのは翔太で、奥からはたくさんの声たちが聞こえてくる。
「お、やっと2人来た！遅いよ〜」
「ごめんよぉ、ラウ〜」
ココは俺たちの居場所。
これからもこの、最高で最強な仲間たちと共に。
Fin.
ニンゲンサマ ab ne ( ab × iw )→←＿＿＿＿
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作者名：あませさん | 作成日時：2023年8月21日 19時
