●頑張り屋さんな君だから ab × nb , mm ページ23
後半abさん喋ってません
久しぶりの夢の国は、テンションの上がるもので。
番組内で行くからまぁ普通には楽しめないんだけど、それでも楽しくて。
アトラクションに乗る度に思い出される記憶。まだ有名じゃなくて顔なんて隠さずに楽しめたあの頃を思い出す。
今日は顔は隠してみんなにバレないように……ってことだけど、昔のように楽しいことに変わりはなくて、つい、はしゃいでしまった。
照りつける太陽は肌を刺激する。
頭に被ってるふわふわとした帽子のせいで頭は蒸れるしほんとに暑い
でも、楽しい。楽しいから、やめたくない。
そんな時だった。
くらくら、してきた。
でもカメラの前だし、みんな見てるし。そう思って足元にグッと力を入れる。
運悪く、なのか運良く、なのか分からないけれど翔太が名前を呼ばれてしまってクーラーのついた涼しい車内に身を投じた。
1度カメラが止まった瞬間にぐらりと大きく視界が揺れて、どっちがどっちかわかんなくなって、そのままわけも分からないまま重力に身を任せる。
「阿部ちゃん!!」
ふわりといい香りが鼻を掠めて。あぁ、めめの匂いだ。安心する、落ち着く匂い。
「阿部ちゃん……阿部ちゃん……!」
「んぁ、ごめ……ん、」
グラグラと揺れる視界。
驚くことに全くもって気持ち悪さとかはなくて、ただその代わり激しい頭痛と目眩が自分の体を襲う。
どこか遠くの方でめめの焦ったような声がきこえてくる。
どこかに降ろされたような気配がして、なんでか分からないけど1人になってしまうと思った。1人になることが怖かった。
「ひ、とり、ゃ、」
手のを伸ばして触れたナニカを乱暴に掴む。「うぉっ、」なんてよろける声がした後に小さく笑う声と頭に載せられる暖かな手の感触がして、気がついたら意識が落ちていた。
♢
車の中に入った瞬間めめの前にいた阿部ちゃんが崩れ落ちるのを見た。
めめが焦ったような声で阿部ちゃんを呼んでいる。俺は何も出来なくて、崩れ落ちる光景を飲み込めなくて、ただ目を見開いて立ち尽くすことしか出来なかった。
めめが阿部ちゃんを支えて、阿部ちゃんを1番後ろの広いところに寝転がらせて。そこまで見届けて漸く俺の体は俺に主導権を返してくれた。
そっとめめの後ろから阿部ちゃんに近づく。
俺に気づいためめはほんのり笑って俺の肩を優しく叩くと、阿部ちゃんを置いてスタッフさんの方へ向かっていった。
その瞬間、ナニカに腕をガッと掴まれて少しよろける。
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作者名:あませさん | 作成日時:2023年8月21日 19時