あなたと痛い 3 (ページ20)

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すると阿部ちゃんは観念したように苦笑いをしてそのふわふわな髪を揺らした。ぎゅっと小さく唇を噛んだあと、まるで「大丈夫」だというように笑う君は辛そうで辛そうで、見ているこっちが苦しくなってしまう。

「……ごめんね、なんか、食べれなくなっちゃって。」

「心当たりは？」

「んー、ない、かな。」

絶対嘘。俺に嘘ついても意味ないのになぁ。
でも、食べられなくなったことを素直に言ってくれるようになっただけでも進歩だろう。「そっか」小さく呟いてソファに座ったことで撫でやすくなった頭を撫でると気持ちよさそうに目を細める阿部ちゃん。

「そうだ、阿部ちゃん。
　明日舘様にご飯作ってもらおうよ、久しぶりに。」

「んー、いいけど……迷惑じゃない、かな、」

「大丈夫大丈夫。舘様阿部ちゃんのこと大好きだから！」

食べられなくなっちゃった理由も、それをずっとずっと黙って我慢する理由も、何にも阿部ちゃんは教えてはくれないけど。
でも、それでも俺はずっと傍にいるから。何度でも名前を呼んであげるから。

「あべちゃん！！！！」

「ふっかぁ！！！」

あの頃からは少しだけ大人になったけど、今までの関係とかそういうのは全部ここにある。それだけは変わらないものだから。

君を元気にするのは俺だけの役目でありたいんだよ。

元気をあげる fin.
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リクエスト作品です。