あなたと痛い 3 (ページ1)

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翔太くんは、少しだけ微笑むとそう言って阿部ちゃんを吐き出したモノから遠ざけた。「俺新聞紙貰ってくる」と行って楽屋を出ていった翔太くん。

新聞紙を持って帰ってきた翔太くんは慣れた手つきで掃除したあと、阿部ちゃんの口を濯がせたり、「大丈夫」と声をかけ続けたりしていて、そうして気がついたらもう殆どのメンバーが揃っていた。

「阿部、どしたの？」

「あ、岩本くん……、えっと吐いちゃって……」

「そっか、どんな感じ？」

「ぐるぐるして気持ち悪いって……」

「どれくらい続いた？」

「3〜40分くらいですかね……？」

答えを聞くなり「ありがと」と言い、阿部ちゃんの元に行く岩本くん。何かを話した後に阿部くんを姫抱きして楽屋を後にしていった。

「翔太くん……阿部くんって、」

「大丈夫、大丈夫だよ。あいつは大丈夫。」

まるで自分に言い聞かせるように呟く翔太くんにそれ以上のことは聞けなくて、その日の撮影は延期になった。

『ごめんなさい。話したいことがあります。』

後日阿部くんからそうメールが届いて、全員が集まった場所で阿部くんの口から出たのはとある病気の名前。

「メニエール病、って言ってね、耳の病気なんだけど。
　この前みたいに急に目が回って吐いちゃったりするの。
　実はね、初めてじゃなくて、
　大分前にかかったのが再発しちゃったみたいで、その。」

ズボンを強く握りしめながら俯く阿部くんの姿はいつもの彼より小さく見えた。

「そうなんですね。そうなったときって俺、どうすればいいですか？」

「え……？」

「俺、あの時何も出来なかったの悔しいんすよ。
　俺でよければ協力させてください。」

眼を潤ませた阿部くんの目とあう。俺が言うと、伝染するように康二もラウールも、「できることを教えてください」って言ってて、5人は泣きそうな阿部くんを見ながら微笑んでいる。

5人より、過ごした時間は短いけど、阿部くんのこと守りたいって気持ちだけは、誰にも負けないと思うから。
年下だし、頼りないかもだけど居る時間の少ない俺だからこそ聞ける話があると思ってるから。
だから、阿部くんのこと、俺に守らせてください。

貴方を守りたい fin
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リクエスト作品です。
作者に医療知識はございませんので、描写全てが正しい訳では無いです。ご了承ください。