EP:09 ページ9
金髪の男、もといセイヤは、混乱していた。
『宮崎さん』とこの少年が口にした言葉は、確かに6人に依頼がある人間が使う合言葉だ。
なぜ、こんな、どこにでも居そうな高校生がその言葉を知っているのかは分からないけれど。
「まあ、何のこっちゃよう分からへんけど、とりあえず玄関先で頭下げるのやめや。人に見られたら変に思われるやろ。とりあえず中入り。」
緊張の面持ちが隠せない2人を部屋の中に入るよう促す。
セイヤと同じような表情で、2人を見つめるリチャードと、興味津々な表情のタイセイ。
兎にも角にもまずは、話を聞かなければ。
「なあ、タイセイ、3人呼んできてくれへん？」
「はーーい。」
階段を２段飛ばしで駆け上がっていくタイセイを横目で見ながら、セイヤは予想していなかった、客人に混乱するばかりだった。
カチコチに固まってる2人は、まだ店の入り口付近で固まったままで。
まあ、そりゃ怖いか。俺らの素性をどこまで知ってるか知らんけど。
「話は聞くけど、役に立てるかはわからんよ。そもそも、その君らが言うてる友達がこの店に来たことなんてないからな。」
「えっ….？」
「何があったんです〜？」
「うわ、高校生やん。マジやん。」
「嘘やと思ってたん？」
「年下となんて久しぶりに話すわぁ。」
騒がしく２階から降りてきた4人に、また2人の表情が引きつったので、セイヤは、とりあえずうるさい4人にバーのカウンターの周辺に座るように促した。
「ニシムラタクヤとオオニシフウガ？」
「っ、はい。」
いなくなったと言う2人の友達の名前を、マサヤが自分のノートパソコンに入れて情報と照会していく。
「でー？その、お友達。どんなヤバい案件に首突っ込んだん？」
「おい、タイセイ。」
「だって、そやろ。普通の高校生が、俺らの事なんて知るはずがない。君らやって、俺らがただのバーの従業員やなんて思ってないやろ？」
コタロウが拳をぎゅっと握りしめ、覚悟を決めたように小さな声で聞いた。
「殺し屋さん….なんですか。」
「そうやとしたら？」
「フウガは、その、父親を、えっと、殺したいって….。」
「だから、俺らに依頼をしようとしてたんか。」
マサカドが呟く。
ノートパソコンに向き合うマサヤのタイピング音が響く中、リチャードが2人に聞いた言葉は、部屋にさらなる静寂を広げさせた。
「そもそもやけどさ、あんたら、施設の子やろ。」
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作者名：ミノ | 作成日時：2020年5月19日 1時
