参拾伍 ページ35
体は疲れているはずなのに
一向に眠くならない。
1人になった途端崇裕さんに言われたことをひたすら考えてしまう。
どうするべきか、どっちが正解か。
頭がそのことでいっぱいだ。
縁側の戸を開けると、月が見えた。
月明かりに照らされている彼岸花はまた違った美しさを
あたしに見せる。
ふと、あの場所に行きたくなった。
十也くんがいた彼岸花の絨毯。
ここでこんなに綺麗なんだからきっとあそこは…
体が自然に動いていた。
お客さんとすれ違うかもとか、自分がダル着でいることとか
その辺りは何も考えていなかった。
ただ本能のままに。
部屋を出て階段を下って旅館を出て裏に回る。
半月が浮かんでいた。
不思議だ。
季節の概念も、日にちの概念もないのに。
月が出る夜と出ない夜がある。
そしてその半月に照らされる数えきれない紅い花。
明るいうちは毒々しいその色が、月明かりに中和されて
儚く揺れる。
吸い寄せられるように足が前へ動いた。
『夜の散歩か』
後ろから声が聞こえた。
いきなり聞こえたのにびっくりしなかったのは
この夜に溶けてしまいそうなほど甘い声だったから。
｢望くんも？｣
『お前が出てったの見えたからついてきただけ』
隣に並んだ望くん。
今更だけど背高いなぁ。
『寝れへんねやろ？付き合ったるわ』
｢いいよ。疲れてるでしょ｣
『崇裕からお前のこと頼むって言われてるから』
昨日ならそんなこと言われてたって嫌がってただろうに。
せっかくの好意だし無理に拒否はしないけど。
周囲が彼岸花に囲まれるぐらいまでの所で彼が止まる。
『何か、思うこととか聞きたいことあるんやったら聞くけど』
見下ろされる。
月のおかげだろうか、昼間よりもその整った顔が
更に整って見えた。
｢イケメンなんだね、望くん｣
……ちょっと待て。
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はのん(プロフ) - カジャさん» すごいです！1話でもめっちゃ嬉しくて興奮してしまいました！！ありがとうございます！！！ (2022年10月4日 21時) (
レス) @page50 id: eb6042d99a (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - はのんさん» 全く考えていなかったため、このように1話のみとなってしまいましたが…リクエスト、ありがとうございました。 (2022年10月4日 15時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
はのん(プロフ) - そんな風に言っていただいて嬉しいです！望くんと濱ちゃんのその後を書いて欲しいです！ (2022年10月3日 18時) (レス) id: eb6042d99a (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - はのんさん» 応援ありがとうございました。はのん様の言葉がとても力になりました。その後、というのは望くんサイドでしょうか？それとも夢主と流星とのお話でしょうか？ (2022年10月3日 14時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
はのん(プロフ) - 全部読ませていただきました！終わってしまって寂しいです。もしよければ、その後どうなったかのおまけ的なの書いてほしいくらいです！ (2022年10月2日 21時) (レス) @page49 id: eb6042d99a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2022年9月11日 21時
