参拾壱 ページ31
そういう環境なんだ、と別に驚きはしなかった。
記憶が無いってある種最強かも。
痛むことも、苦しむことも無い。
だからあたしは忘れたのかな。
全てを忘れて楽になるために。
『今お嬢の体は多分生死を彷徨ってる。ここに来てる時点で
ちょっと死寄りやけど』
『帰りたくないならずっとここにおればいい。
向こうの体は機能せんくなる。
けど俺は、お嬢を生きて返す術も知ってる』
｢名前ですか｣
『それも聞いたん笑 そう、名前。名前思い出したら
それ以外の記憶も全部戻る』
望くんは、早く返せと言っていた。
こっちに来てはいけないとも。
あれは生と死の境界線をあたしが超越していたから。
死者の世界に曖昧に入って、しかも記憶がなく
入り浸ろうとする生者。
この世界にも他の子供にもどんな影響を与えるか
分からない危険人物。
あたしは帰るべきなのだ。
望くんが最初から言っているように、
柑奈ちゃんや雷斗くんに言われたように。
『お嬢は帰りたい？それともここに居たい？』
(( よっぽどしにたいと願ったか ))
崇裕さんの予想が合っているなら、きっとあたしは
本当に命を懸けてここに来たんだろう。
目が覚めて感じた追われている感覚もやけにリアルだった。
そんな所に、すぐに戻りたいとは言えない。
だけど…
望くんなら、どうするだろうか。
｢ちょっと考えたいです｣
『ん、まぁそうやんな笑 でもなぁゆっくり悩めとも言えへんねん』
そう言って崇裕さんは時計を指した。
『この世界に日にちって概念はないけど、今何時かって
いう概念はある。朝昼夜は巡ってくる』
『えーとお嬢はここに来て24時間やから…あと72時間。
72時間以内に戻らんと、体が耐えられへんくなって
永遠に機能停止や』
逆に言えば、帰りたくなければあと72時間をここで過ごせばいい。
成程分かりやすい仕組み。
『名前、知りたくなったらまた来てな』
｢…はい。ありがとうございました｣
お茶をグイッと飲み干し、意地汚いかなと思いつつも
せっかく出してもらったのでお菓子はポケットに入れておいた。
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はのん(プロフ) - カジャさん» すごいです！1話でもめっちゃ嬉しくて興奮してしまいました！！ありがとうございます！！！ (2022年10月4日 21時) (
レス) @page50 id: eb6042d99a (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - はのんさん» 全く考えていなかったため、このように1話のみとなってしまいましたが…リクエスト、ありがとうございました。 (2022年10月4日 15時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
はのん(プロフ) - そんな風に言っていただいて嬉しいです！望くんと濱ちゃんのその後を書いて欲しいです！ (2022年10月3日 18時) (レス) id: eb6042d99a (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - はのんさん» 応援ありがとうございました。はのん様の言葉がとても力になりました。その後、というのは望くんサイドでしょうか？それとも夢主と流星とのお話でしょうか？ (2022年10月3日 14時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
はのん(プロフ) - 全部読ませていただきました！終わってしまって寂しいです。もしよければ、その後どうなったかのおまけ的なの書いてほしいくらいです！ (2022年10月2日 21時) (レス) @page49 id: eb6042d99a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2022年9月11日 21時
