弐拾肆 ページ24
いらない子。
あたしはこの場に、いらない子。
一粒だけ流れた雫が頬を伝う。
でも顔は見せていない。
まだ彼には、見えていない。
｢…じゃあ｣
彼が立ち上がる気配がした。
そのまま近づいてくる。
握りしめた拳ごと、腕を引っ張られた。
『悪かった。ごめん』
頭上から声が降る。
正面には彼の胸板。
腰に腕を回されて、抱きしめられている状態。
『いらん子なんかやない。いらん子なんかおらん』
一粒だった雫が、二つに、三つになっていく。
頭をポンポンと優しく撫でられるからなんか止まらなくなって。
さっきまでと別人…いや、昨日までと別人の姿に
なぜか心臓までもがうるさい。
『お前の話も聞かんと詰めて悪い。何かあるなら、言ってほしい』
とりあえず零れていくものを止めたい。
だけど口を開こうとするほど、それが邪魔して喋れない。
今の顔も見せたくないが身動きも取れない。
何も言わないあたしに次第に腕の力を緩め
顔を覗こうとしてくる望くん。
抵抗し、必死に彼の胸に顔を押しつける。
まだ元に戻りそうにないから、もうちょっと…
『あ、鼻と目が真っ赤っか』
抵抗虚しく見られてしまった。
慌てて後ろを向くけど、それもまた無意味。
正面に回ってきた望くんに腕を取られ、そのまま縁側へと
進んでいく。
｢あ……｣
『んー、どした』
当然なんの躊躇いもなく障子が開けられた。
『え？何これ。びちゃびちゃやん』
広げて置いてある着物。
あたしと着物を交互に見る望くん。
『……チビらか』
｢いや…えっと…その、｣
『ちょっと待っといて。すぐ戻る』
｢え、ちょっと｣
風のような速さで、彼は部屋を出ていってしまった。
まずいなぁ。
犯人が誰か分かったら更にあたしは嫌われそう。
望くんなら上手く言ってくれるだろうか。
ていうか…
ティッシュどこ？そろそろ鼻水がやばい。
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はのん(プロフ) - カジャさん» すごいです！1話でもめっちゃ嬉しくて興奮してしまいました！！ありがとうございます！！！ (2022年10月4日 21時) (
レス) @page50 id: eb6042d99a (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - はのんさん» 全く考えていなかったため、このように1話のみとなってしまいましたが…リクエスト、ありがとうございました。 (2022年10月4日 15時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
はのん(プロフ) - そんな風に言っていただいて嬉しいです！望くんと濱ちゃんのその後を書いて欲しいです！ (2022年10月3日 18時) (レス) id: eb6042d99a (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - はのんさん» 応援ありがとうございました。はのん様の言葉がとても力になりました。その後、というのは望くんサイドでしょうか？それとも夢主と流星とのお話でしょうか？ (2022年10月3日 14時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
はのん(プロフ) - 全部読ませていただきました！終わってしまって寂しいです。もしよければ、その後どうなったかのおまけ的なの書いてほしいくらいです！ (2022年10月2日 21時) (レス) @page49 id: eb6042d99a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2022年9月11日 21時
