黒の組織で何が悪い？【名探偵コナン】

I like you. ページ7

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ようやく笑いが収まった頃、私はパソコンを拾って次のページへ進んだ。
データにはまだ続きがあった。


「キャンティ……」

片目に蝶の刺青が入った赤髪の女性──キャンティのおいそれと他人には見せられない写真が映っている。画像の粗さから考えて、遠くから盗撮したらしい。
ジンの写真で散々笑って腹筋が痛いのに、まるで追い討ちだ。

データは残り三十六ページ。このまま見続けては、少女を育てる前に笑い死ぬ。
後で落ち込んだ時にでも見ようと心に決めて、私はリュックサックに入れていた白いポーチから苦無(クナイ)に模した五センチ程のＵＳＢメモリを取り出すと、データのコピーを開始した。


「･･････で、本当の資料はあるのかしら」
【データをコピー中… 残92%】という字を横目に、ベルモットに訊ねる。

「あ、あらー？ 今のが本当のしりょっ……あー！！ ごめんなさいねー、渡すやつを間違えてしまったわー？ うっかりうっかりー」
ベルちゃんが女優とは思えない大根役者っぷりを発揮しながら言った。

……笑ってるし。演技する気あるの？




「という訳で、私は間違って渡しただけよ。もしジンに何か言われても、そう答えなさい」

あっ、はーい。
スッと真顔になったベルちゃんににこりと了承すると、彼女は顔を寄せて私に囁いた。
──何に使うかは自由だけど、私に迷惑は掛けないで。


「心配性ね」

「釘を刺しておかないと、後で言い逃れされても困るもの」

それは同意。



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「重要な事はすべてそれに書いてあるわ。暗記したら破棄して」

予想通り、少女の資料や任務についての詳しい内容はすべて紙にまとめられていた。
これとＵＳＢメモリを間違えたなんていっそ清々しい嘘だ。
意外と量の多い資料を丁寧にクリアファイルに挟んでリュックサックに入れていると、ベルがそう私に告げる。


「……それじゃ、後は任せたわ」

「死亡フラグ？」

「銃で撃つわよ」

「そっか、私の死亡フラグか」

あるでしょう、『後は任せたぞ』って普段は冷たいエリート副隊長が、ここぞという場面で主人公を信頼して発する熱い言葉！
いつもは結構酷い態度だったが、最後の最後で実力は認めていたという想いの伝わる言葉！

漫画やアニメ、映画でもよくあるシチュエーションだろう。まぁ、今のは全部想像だけど。





「あ、さっきのデータの対価は東都から広島の往復チケットで良いわ」
当然、新幹線のね。
部屋を出る直前に、扉から顔を出してベルが言った。

ベルちゃんのそういう勝手に渡しておいて見返りを求めるところ、ほんと好き。

Call me by the nickname.→←I wanted to became a high school girl.

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