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cry ページ45

◇◆


とりあえず、陣平が今死んでしまう事は防げただろう。
との趣旨を電話でしろちゃんに伝えると、彼女はほぅっと溜息をついた。
まるで張り詰めていた糸が切れたようだ。

「カシス、協力してくれてありがとう」
『別に。犯罪者の思い通りにいくのが胸糞悪いだけ』
しろちゃんは少し照れたように、そう言って誤魔化した。




◆◆

それで? と、目の前の男が訝しんだ表情で私達を見る。
__と言うより、私を。
私の隣で、しろちゃんは心底どうでも良さそうに欠伸をしていた。
彼女の態度はこれがデフォルトで、話自体は基本的に頭に入れているようだ。
しろちゃんは根が真面目なので人の話を聞かないという事ができない性分らしい。


「どうしてあの時、俺が爆弾と対峙している事を知っていた?」
陣平の隣には研二も居る。
現役爆発物処理班なので、今回の爆弾にも駆けつけてくれたのだ。
それにしても、爆弾は解除したとは言えまだ二人共仕事は残っているのではないだろうか。
そう思いつつ、とりあえず質問には応える。
「陣平、『コイツはちゃっちゃと解除しますか!』って言っていたのは誰だったかしら」

「それだけで爆弾だってわかるのかよ」
「正確に言うなら、そう勘違いしたの。
結果的に間違いではなかったけれど、あの時私の頭には爆弾しか無かったから、『解除』と聞いて咄嗟に陣平も爆弾を前にしていると思ったの」
スラスラと私が応えると、へ〜え〜? と陣平は疑いの眼のまま言った。
しろちゃんが一瞬、嘘ばっかりという顔をする。
私はあははと薄く苦笑いをして、二人に尋ねた。
「ところで、二人共仕事はもう終わっているの?」
私達に時間を割いていて大丈夫なのかしら。




「今お前らの事情聴取中だから」

・・・・・・捜査一課に任せておけば良いのに。









間。







まぁ仮にそれが本当だとして、と研二が言う。

「なんで米花中央病院に居たんだ?
誰かの見舞いに行ったわけじゃないだろ。
受付に確認したけど、Aの名前はどこにも載ってなかったぜ?
勿論、診察の予約名簿にもな」
研二がこれならどうだという表情をする。
確かに、言い逃れしづらい。
しろちゃんが頬杖をついて、ちらりと私を見た。
助け舟が必要か考えてくれているらしい。


……さて、どうしたものか。
言い訳という名の嘘ならいくらでも作れる。
ただ、できるのならそんな事をしたくはない。





「私があの時、病院に居た理由は勿論、」
──瞬間、子供の泣き声が私達の耳を(つんざ)いた。

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Maho(プロフ) - 途中までですが、読ませていただきました!とても面白かったです! (2018年7月21日 17時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
癒純(プロフ) - めあさん» 嬉しいです! ご指摘ありがとうございます、全然気づいていませんでした笑 文字化けみたいな感じの事が起きていたみたいです、修正しました! (2018年5月4日 11時) (レス) id: 32471a5b5b (このIDを非表示/違反報告)
めあ - とても面白いです!一つ気になったのですが、ときどき入る『う』の濁点2つは、なんなんでしょうか…?更新待ってます。 (2018年4月21日 9時) (レス) id: 463c5ba869 (このIDを非表示/違反報告)
癒純(プロフ) - ーさん» 大丈夫ですよ! ありがとうございます!! すごいがんばれます! (2018年1月17日 20時) (レス) id: da9e5193a1 (このIDを非表示/違反報告)
- いえ全然!ただ単に気になっただけです!こちらこそ勘違いしてすみません!更新頑張ってください! (2018年1月17日 18時) (レス) id: 4478221eaa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:癒純 | 作成日時:2018年1月15日 2時

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