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月の下で ページ20

もう外は暗い時間。月の明かりだけが照らす中、
Aは一人、バルコニーへ出て風に当たっていた。

マル「Well Well…女性がこんな時間に一人でいるなんて…悩み事かい?A。」

A『マルフィ。ちょっと眠れなくて。』

マル「ここへ来て随分経つのに、まだ慣れないのかい?」

A『ううん。だいぶ慣れたつもりなんだけど…最近変な夢を見るんだ。』

マル「夢?」

A『そう、夢。』

そう呟くように言ってから、夢の内容を語る。

A『タワーオブテラーの最上階。私は何かを失った悲しみ埋めたくて、暗闇に手を伸ばす…そしたら急に強い風に吹かれて、バランスを崩して落ちそうになるんだけど、腕を引かれて助かる。』

マル「…助けたのは、誰?」

A『それがね、いつも誰だか分かる前に目が覚めるんだ。』

Aは困ったように笑ってマルフィを見上げる。
その瞳は少し不安げに揺れていた。

マル「…何かを失った悲しみを埋めるって言ったね。」

A『…?うん。』

マル「Aがどうやってヴィランになったのかは知らないし、僕達でいう、マスターのような存在がいないのも気になる。…きっと、僕達とAは少し違うんだ。」

マルフィはじっとAの目を見て話す。
Aも、その瞳を見つめ返す。

マル「でもね。今こうして、Aはヴィランズの世界(ココ)にいて、私達と出会った。毎日が楽しいだろう?」

A『ふふっ…うん。』

マル「僕達がついている限り、悲しい思いなんてさせないよ。だから、安心して眠りなさい。」

A『ありがとう、マルフィ。』

マル「どういたしまして。部屋まで送っていこう。もう皆寝ている頃だろうし。」

そう言って手を差し出す。
Aは笑ってその手を取る。

その顔にはもう、不安の色は無くなっていた。

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設定タグ:ヴィランズ手下 , 短編集 , ヴィランズ   
作品ジャンル:ファンタジー
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ラム - 続きが気になる (2020年5月12日 23時) (レス) id: 53f56e15b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あまレモ | 作成日時:2020年3月10日 20時

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