マダムキラー ページ6
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授業参観の後日談
「莉子さんの旦那さん、初めて見たけどほんと素敵よね！イケメンっていう噂は聞いていたけど想像以上！！」
「わかる！授業参観日に来た時、思わず見惚れちゃった。ウチの旦那とは大違いよ」
「どうやってあんな素敵な旦那ゲットしたのよ！莉子さんが羨ましいわぁ」
所謂ママ友と話をしていたら、彼の事をべた褒めされた。褒められるのはとても嬉しいが、モヤモヤするのは事実。なぜなら、ママ友は皆、彼に惚れて女の表情になっていたのだ。
結婚をして子供が生まれ、彼との付き合いが公になる中で、そのような事が増えている。
女性の扱いの上手さがプロ並みというのが、そうなってしまう第一の要因だろう。女性たちを魅了する、そのよそ行きの顔は今は無き《安室透》が無意識に出ている。無意識というのが余計たちが悪い。
今回は授業参観日でママ達と話す機会があまりなかったようだが、一が保育園に通っていた時はとても苦労したのを覚えている。
始めて彼が一を園に迎えに行ってくれた次の日。一を園に送りに行くと、若い園の先生やママ達が影で彼のことを話題に挙げて盛り上がっていた。正直あまりいい気はしなかった。
結婚する前は一緒に過ごせる時間は少なく、付き合いも公にしていなかったため、嫉妬する機会など殆どなかった。それが今は、逆に嫉妬する場面が極端に増えた。30歳を過ぎた自分が、今更彼に嫉妬するなど恥ずかしくて、口が裂けても言えない。
そんな想いの中、生まれて6ヶ月の環奈を抱っこ紐で抱えたまま帰路に立つ。
夜、夕食を終え子どもたちを寝かしつけ、テレビを見ていると21時を過ぎた頃、彼が帰ってきた。
今日の事もあり、授業参観以来久しぶりに帰ってきた彼に無性に彼に甘えたくなり、玄関に迎えに行くと正面から抱きつくときちんと抱き止めてくれた。
『おかえりなさい』
「ただいま。どうした？」
『なんでもない』
彼の声と匂い、体温をを直接感じると先ほどのモヤモヤが消えていくのがわかる。
「莉子」
名前を呼ばれて、彼を見上げたらキスの雨が降り注いだ。
子供が生まれてからはなかなか二人きりの時間が持てない。だから子供達が寝静まった夜くらいは、ただの女に戻り、彼を独り占めする時間くらいあってもいいだろう。
嫉妬はしてしまうが、こうして彼を独り占めすると心が満たされる。
その感覚は心地よく、嫉妬するのも悪くないかもしれない。
そう思えた。
end.
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作者名：ゆきだるま | 作成日時：2018年6月26日 22時
