授業参観1 ページ4
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-降谷零 side-
「え、一が?」
『はい。一が友達に言われたみたいなんです。《一はお父さんの自慢良くするけど、本当にいるのか?見たことないぞ》って。本人は、気にしてないけどお父さん馬鹿にされたみたいで悔しいって言ってて』
「そうか…保育園の時もそうだったが、イベントごとは殆ど莉子に任せっきりだったからな…そういえば、来週日曜日に授業参観あるんだろ?」
『うん、父の日に合わせてて、《お父さんの自慢》を作文にして発表するみたいですよ』
「それなら俺が行く」
『え、仕事は?』
「少し抜けるさ」
『そっか、それならお願いします』
一がそんな事を言っているとは思わなかった。気にしてないと言っていたようだが、一だってまだまだ一年生の子供である。強がっているだけで、気にしてないはずがない。
仕事の関係で保育園の時も、年長の時の運動会と卒園式くらいしかイベントには行けなかった。だからこそ、今回は一のためにも何としても授業参観に行かなければならない。
着替えを済ませて、一が眠っている寝室に静かに入り寝顔を見つめた。授業参観日は父親の自慢について発表してくれるらしいがどんな自慢をしてくれるのだろうか今から楽しみだ。
そっと頭をなでなから、軽く微笑んだ。
参観日当日、仕事を早々に切り上げ中抜けするなり小学校へと向かう。
開始時間には少し遅れてしまって、一の発表に間にあうか心配だったが、丁度一の発表か始まるところだったのか起立した状態だった。教室のドアを開けて静かに入ると、途中からということもあってか、周囲の視線を集める。
(ギリギリだったな…間に合ってよかった)
ドアを開けたときに一がこちらに気づく。同時に目が合うと驚いたような、嬉しそうななんとも言えない表情の一に、思わず笑みが溢れた。
《お父さんの自慢》という題から始まり、大きな声で堂々と発表した一。
その内容を聞いて、自分はきちんと父親をやれているのだなという事が分かった。一緒に過ごせる時間は、他の家族と比べて極端に少ない。
それなのにみんなの前であそこまで自慢してもらい少し誇らしく思う。
授業が終わり、帰るときになったらたくさん褒めてやろう。そう思いながら小さな背中を見つめた。
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作者名:ゆきだるま | 作成日時:2018年6月26日 22時