妊娠発覚2 ページ3
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-降谷零 side-
最近、莉子の機嫌がすこぶる悪い。原因は恐らく家に帰れていない事だろう。今回も久しぶりに帰れたと思ったら本庁に逆戻り。
莉子はいつもどんなときも、笑顔で見送って、笑顔で出迎えてくれる。きっと、自分はそんな優しい莉子に甘えきっていたのだと思う。怒られて当然のことをしているのに、自分も、本庁に逆戻りする事への苛立ちから、冷たく当たってしまった。
度重なる会議も終えて一息ついている時にドアがノックされ、入るように促すと風見が入室してきた。
「失礼します。事件の詳細資料です。捜査も無事進んでいるようです」
「そうか。明日にでも目を通しておこう。今日はもう帰るから後は頼んだぞ、風見」
「はい。お任せください。…降谷さん、何かありましたか?」
「…いや、最近妻の機嫌がすこぶる悪くて。家に帰れていないのが一番の原因だと思うが」
「そうでしたか…もしかして妊娠されているのかもしれませんよ。妊娠初期に情緒不安定になることはよくあるみたいです」
「何で風見がそんなこと知ってるんだ」
「私の妹、子供がいるんです。妊娠初期に情緒不安定になったことを以前実家に戻った時に話していたので」
「そうか…とりあえず話を聞いてみるか」
「奥様に宜しくお伝え下さい」
「ありがとう」
風見とこんな話をするなど考えていなかったが、もし妊娠の影響があるなら、今回は自分にも非がある。
自宅へ戻り、鍵を開けて中に入るが家の中は暗かった。リビングの電気をつけると、ソファで眠っている莉子がいた。起こさないよう近寄ると、ソファの下にエコー写真が落ちていた。やはり妊娠していたようだった。
『ん、…』
「莉子」
『れ、零さん!』
「これが落ちてたが、妊娠したのか」
『…2ヶ月でした。ごめんなさい…』
「なんで謝る」
『最近、ずっと零さんの怒って…後悔してた。この間も戻りたくて職場に戻ったわけじゃないのに』
「俺の方こそ悪かった………子供、ここにいるのか?」
目線を合わせるようにしゃがみ込んで、まだ膨らんでいない莉子のお腹に手を触れた。
『はい…』
「生んでくれるか?」
『………っ、はい…』
「泣き虫」
自分の頼みを聞いたときに静かに泣き出す莉子を強く抱き締めた。
「男か女か…どっちだろうな」
『ふふ、まだ、わかりませんよ』
そして、8か月後、元気な男の子が生まれた。
end.
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作者名:ゆきだるま | 作成日時:2018年6月26日 22時