挨拶 ページ16
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「僕のおじいちゃんとおばあちゃんの所?」
「そう、会いに行こうね」
今日は自分の祖父母に一を紹介する日だ。
最期に二人揃って会ったのは確か彼との婚約が決まった後だろうか…
「随分と田舎だな」
「そうなの」
「でも良い所だ」
車を走らせながら彼と会話を楽しむ。今、彼と自分が育った家へと向かっていた。婚約届の証人に祖父の名前を記してもらうためだ。
車を走らせて数時間が経ち、目的の家に付いた。何年ぶりだろう。とても懐かしくて、目頭が熱くなる。
家に向かって歩いていれば、玄関のドアが開き祖母が顔を出した。
「やっぱり!!お父さん!!莉子ちゃんが来ましたよ!」
「おばあちゃん。ただいま」
「うん、おかえり。それと、貴方が莉子ちゃんの?」
「はい、降谷零です。はじめまして」
「あらあら、莉子ちゃんも随分とハンサムな恋人を連れてきたこと。とりあえず入って?疲れたでしょう?」
「お邪魔します」
中に入ってみれば変わらない家の雰囲気に安心する。茶の間に案内すれば、祖父も部屋に入ってきた。
「はじめまして、莉子さんとお付き合いしています、降谷零です」
「ははは。そんな畏まらなくても、結婚に反対するつもりはないですよ。莉子の育て親の坂本やすし泰です。ひ孫の顔さえ見せてくれればね」
「ありがとう御座います」
「お父さん気が早いわよ。結婚はこれからなんだから」
そんな何気ない会話の中で、婚姻届の件を話して証人の欄に祖父のサインを貰った。次の日彼は朝早く仕事が入っていたので、お昼ご飯を食べてから、母親の実家を後にする。
それから二年後、祖父が亡くなった。祖母も祖父の後を追うように亡くなり、約束していたひ孫の顔を見せる約束は果たせなかった。
だから、自分たちの子供が生まれたら会いに行こうと決めていた。
「お母さん、お父さんここ…って」
「そう。おじいちゃん、おばあちゃんはここにいるの」
「一に会わせる約束してたんだが…。名前、教えてあげたら喜ぶと思うよ」
「うん。おじいちゃん、おばあちゃん。はじめまして、僕は降谷一です!よろしくお願いします!」
「良くできました」
「さあ、お墓綺麗にするぞ」
「はーい!」
おじいちゃん、おばあちゃん元気ですか
一はとても良い子に育ちました
見ての通り彼に似てかっこいいんです
それから、もう一人お腹にいます
この子が生まれたらまた会いに来ます
end.
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作者名:ゆきだるま | 作成日時:2018年6月26日 22時