娘の恋事情 ページ15
-降谷環奈 Side-
今日は父親の仕事が休みで、久しぶりに二人で公園に来ていた。母親ともくる公園だったが、父親と来るとなると、特別な公園にすら感じてしまう。
結構長い時間遊んでもらい、父親がベンチに腰掛ける。自分は以前母親から教えてもらった方法でお花の冠でも作りたいと思い、シロツメクサの生えているところに行き花を摘んで行く。しかし、まだ3才で不器用な事もあり、一人ではうまく花を編むことが出来ず、苛立ちを感じ始めていた。
「貸して。ここは、こうするといいよ」
諦めようかと思ったら、自分よりも少し年上の男の子が、自分の持っている花を取り編み方を丁寧に教えてくれた。
「わあ、すごーい!お兄ちゃんありがとう。こうして…うんと…こう?」
「そう。上手だね」
とても器用で、優しい男の子。小さいながらもそれは伝わってくる。
時間をかけてなんとかお花の冠を完成させることができた。形は歪だが、頑張って作った冠。以前、母親が結婚式で頭に載せていたティアラを思い出す。輝きは違うが、どこか共通点を感じていた。
その時、男の子が自分の作った冠を、手にするなり自分の頭に載せてくれた。
「え?」
「とっても似合うね」
「ありがとう…」
この気持ちは何だろう。好きな人は保育園に沢山いる。だけど、目の前にいる男の子はどこか特別に感じた。
空がほんのりオレンジ色になり始める。
父親の方に視線を向けてみれば、誰か知らない男の人と楽しそうに話していた。
「あそこにいるの僕の父さん。隣の人は君のお父さんかな?」
「うん、環奈のパパだよ」
「一緒に行こうか」
「うん!」
一緒にと言われ、互いの父親のところへ駆け寄る。
「パパ見て!ティアラ!ママと一緒!」
「へえ。上手にできたね。君が手伝ってくれたんだろう?ありがとう」
「……困ってたから」
「随分と素直で良い子だね。素直じゃない君とは大違いだ。新一くん」
「一言多いですよ。それにしても、降谷さんもちゃんと父親してるんですね。普段は冷徹で、将来は警察庁長官になると言われてる人が…」
「プライベートはどうも気が緩むんだ」
「でないと、やってけませんしね」
「そうだね。息子も帰ってきたみだし、そろそろ帰るよ」
「そうですか…じゃあまた。ほら、俊も」
「さようなら。環奈ちゃんもバイバイ」
「俊くん、バイバイ!またね!」
二人が特別な関係になるのは、まだまだ遠い先のお話。
end.
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作者名:ゆきだるま | 作成日時:2018年6月26日 22時