長男誕生1 ページ11
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出産予定日まで一週間を切った時、陣痛が始まった。
初産ということもあり、かなりの不安があったのに、彼は大きな事件のため暫く家を空けており頼ることができない。こうなることはわかっていた事なので仕方がない。
いつ入院してもいいように準備していた荷物をもって、婦人科に連絡したのち、呼び出したタクシーで向かった。
予定日まで数日で、陣痛も始まっているため、婦人科につくなり出産に備えて入院することになった。時間が経つにつれて陣痛が激しくなり、10分起きに陣痛が来はじめる。辛いとは聞いていたがここまでとは思わなかった。
こんな辛い想いをしながら子供を産む世のお母さん達に頭が上がらない。
「おめでとうございます!元気な男の子です!頑張りましたね、お母さんになりましたよ」
半日以上続いた陣痛に耐えられず弱音を吐いてしまう時もあったが、助産師さんや看護士さんに励まされながらも、なんとか元気な男の子が産むことができた。
産声を聞き、生まれたばかりの子供を抱くと今までの辛さを忘れて、幸福感に包まれ、我慢していた涙がボロボロ溢れてくる。
『生まれてきてくれてありがとう…』
その後はお互い検査や療養のために子供と別れ、自分は病室で休むことになった。
目が覚めて、体の痛みを感じつつ少しずつ覚醒して来れば、個室に備え付けられていたソファに座り眠っていた彼に気づく。
『…零さん…』
「…ん………莉子!」
『来てくれたんですね…』
「当たり前だ…着信には気づいてたんだが、なかなか出られなくて。遅くなってごめんな…」
『ううん…元気な男の子生まれたよ…』
「うん、新生児室に行って見てきた。小さくて可愛かった…。その後の経過も順調だそうだ。莉子、頑張って産んでくれてありがとう…お疲れさま」
『よかった…』
「動けるようになったら一緒に行こうか。抱かせてもらえるみたいだ」
『嬉しい…もう少し休んでからでも?』
「ああ、ゆっくり休んで」
それからまた少し眠り、目覚めたところでゆっくり歩いて新生児室へと向かった。彼に子供が寝ている場所を教えてもらえば、彼に似た髪の色をした小さな子が眠っていた。
看護師さんが抱いても構わないと言うので、なれない手つきでそっと抱かせてもらう。
小さな命にまた涙が溢れた。
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作者名:ゆきだるま | 作成日時:2018年6月26日 22時