【降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅱ (ページ8)

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難題ページ8

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-降谷零 side-

誰よりも早くバイト先に来て準備を済ませ、梓が来たと同時にお店を開けた。

賑わい始めた11時過ぎに莉子がお店に来店しする。いつもと同じように《安室透》で爽やかな笑みを浮かべて接客をした。注文を受けて、調理していくが、莉子がこちらを見てくるのがわかる。こちらも気恥ずかしさを感じて口パクで〈見すぎ〉とだけ答えた。

すると、何故かはわからないが顔を赤らめた。不思議に思いながら完成したパスタを目の前に置くと、いただきますと言って、いつもの笑みを浮かべながら美味しそうに食べる莉子に安心した。

少しして来店した蘭が莉子の隣に座り話をし始めた。いつの間に仲良くなったのだろうか、仕事をしながら二人の様子を見ていると、《恋人》についての話をし始めた。自分を気にして話すのがわかった。昨日の莉子ならペラペラ話しただろうに…。

その時着信がなり莉子が電話に出た。電話を終えたと思ったらそそくさと帰る支度をして、会計を求めてきた。ワッフルを作っていたが、それは蘭にあげるようにとの事。バイトが忙しくてあまり話せないものの、莉子がいるこの空間が好きだったので、少し早く帰ってしまうのは名残惜しい。

それでも車検で、米花自動車に車を預けに明日も行く事を会計の時に伝えると、嬉しそうに微笑む莉子。早く明日にならないだろうか。そんな事を思い莉子を見送った。

「お待たせ、蘭」

「あ、園子」

「今出て行った人、すっごい美人だったんだけど」

「もしかして莉子さんかな」

「え、蘭知り合いなの？」

「うん、安室さんも知り合いなんだよ」

「そうなんですか？」

「ええ」

「イケメンってだけあって、安室さんの周り美人多いですよねぇ。ははーん、莉子さんって人に言い寄られちゃってるんですかぁ？」

「まさか。僕なんて相手にされてませんし、彼女、恋人もいるみたいだし」

「って事は気にはしてるんだ！」

「どうしてそうなるんですか」

「だって、安室さん29歳でしたよね？結婚とか考えてもいいのになーって。それに、こんなイケメンに恋人いないなんて変ですもん」

「結婚…考えた事ないですねぇ」

園子は本当に勘が鋭い。ここで莉子との関係を漏らすわけにはいかないため適当に誤魔化した。仕事の都合もあり結婚は考えた事はなかったが、莉子と恋人関係になってから考えるようになったのは事実。自分が抱えているモノよりも難題で思わず考え込んでしまった。

(結婚か…)