【降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅱ (ページ46)

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彼の過去2 ページ46

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-降谷零 side-

行為を終えて二人でお風呂に入っている時に、莉子を抱き締めながら、先程話すと約束していた警察学校時代の同期についての話をした。

厳しい訓練の中、将来について語り合った日々。

警察官は危険が付きものだし、安全など保証されてない。しかし、彼らの最期を思うと、今でもやりきれない思いになってしまう。そんな思いのまま話をしていたら、話の途中で涙が溢れて来てしまった。

泣くつもりなど無かった。

不覚だったと涙を隠そうとしたら、こちらに気づいて何も言わず抱き締めてきた。莉子の気持ちを察してこちらも抱きしめ返した。

『私だけじゃ、力不足かもしれない…私じゃ、その辛い気持ちを無くすことはできないかもしれないけど…私は零さんの側を離れない。いなくならないから…。それに、殉職した同期の方達の分まで幸せになることが零さんが今できることだと思います』

「ありがとう。そうだな…莉子と出会えてよかった」

『私も…こんな私を選んでくれてありがとう…』

こんな弱い自分を知っても必死に支えようとしてくれている莉子。彼女に出逢えて本当に良かったと心から思う。

これから始まる結婚生活は良いことばかりではない。些細なこと、考えの食い違いから喧嘩をすることだってあるはずだ。一緒生活する中で、嫌いな部分だって見つかるかもしれない。

そんな事があってもきっと、お互い年老いた頃には笑い話になっていることだろう。

そんな遠い未来を考えると、涙ではなく思わず笑みが溢れる。

「莉子はさ、子供何人欲しい？」

『え、急にどうしたんですか？』

「家族計画立てようと思って」

『ふふふ…うーん、そうだなぁ…二人は欲しいです。男の子と女の子。私ひとりっ子だったから兄弟がいるの憧れたんです』

「俺も二人は欲しいな…名前は？」

『…名前？！』

「うん」

『男の子なら《一》がつく名前がいいです』

「何で？」

『《ゼロ》の次は《イチ》でしょ？』

「ふっ…面白いこと考えるんだな」

『零さんは？』

「生まれた季節の花の名前がいいな」

『素敵…。元気に育ちそうですね』

お風呂から上がり、二人でベッドに横になりながら、まだ見ぬ家族の話をする。まだ作ることは出来ないが、話をするだけで暖かく、幸せな気持ちになれた。

莉子の髪の毛を撫でれば、急にウトウトし始める。お互い明日は仕事になるので今日はもう眠ってしまおう、そう思い軽く唇にキスをした。

「おやすみ」