【降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅱ (ページ44)

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少し早いクリスマス2 ページ44

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-降谷零 side-

挨拶を終えて事務所を出たときに、雪が降って来たことに気づいた。気を利かせてて貸してくれた傘を広げて大きめの傘に二人で入る。傘を指している自分達の顔はあまり見えないだろうと、普段街中では握ることのない莉子の冷たい手の指を絡めて握る。

莉子が小五郎の印象を語るのを聞きながら自分も同じようなことを考えていた。情報収集のためだけに《安室透》となり、探偵として小五郎の弟子になった。《安室透》で知り合い親しくしている人達は、カタチだけの関係からいつの間にか本当の大切な人となり自分が守るべきものになっていくのがわかる。

任務中に殉職していった同期生たち。

大切な人達を失う辛さは誰よりもわかっている。

だからこそ、割り切って一人で生きてきた。

しかし、増えていく大切な人達。

そんな複雑な思いから莉子の目の前でそんなことを口にしてしまった。不思議そうにする莉子。今すぐには話せないが、二人きりになれた時に少しだけ甘えさせてもらおう。

そして、今日は少し早いクリスマスデートをしようと思い、レストランとホテルを事前に予約していた。驚かせたくて内緒にしていたが、やはり驚いて、急だと言いながらも行くと頷いてくれた。その返事を聞いて、嬉しさから傘を深くさして自分達を隠し軽く唇にキスをする。

『零さん、こんな街中で！！』

「少しくらいいいだろ」

『もう』

顔を赤く染めながら唇を尖らせる。そんな姿も愛しくて軽く微笑みながら、結婚指輪を見るためにジュエリーショップへと立ち寄った。販売スタッフに結婚指輪を探していることを説明して、いくつか指輪を見せてもらう。迷いながらもシンプルなストレートタイプで、莉子のものには小さなダイヤが埋め込まれているものを選んだ。

購入後は雪がしんしんと降る中、街中のイルミネーションを見ながらゆっくりと歩いた。

『綺麗ですね』

「こんなにゆっくりイルミネーションを見るのは初めてだ」

『私もです。いつも通りすぎるだけでしたから。それにしてもこの降り方、雪が積もりそうですね。明日の仕事大丈夫かな』

「長くは降らないみたいだから大丈夫だろう」

『それならよかった…』

「……19時だ。そろそろ行こうか」

『そうですね』

時計を見れば19時を回ろうとしていたので、予約していたレストランに行こうと声をかけてからホテルへと向かった。