【降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅱ (ページ35)

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気懸かり1 ページ35

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-降谷零 side-

結局昨日は夕食も食べずに莉子を抱いてしまいそのまま寝落ちてしまった。

外ではいつも神経を張り巡らせている自分だが莉子の待つこの家では、緊張の糸が解けてただの男になるようだ。

自分の胸元で静かに眠る莉子を見つめながら、髪の毛を解かすように撫でた。しばらく起きそうになかったので、静かに離れて仕事へ行く準備をする。

今日はポアロのバイトだが久しぶりの出勤になるため、早めに行って準備を済ませておきたかった。シャワーを浴びて、腕の包帯を慣れたように巻き直す。

キッチンへと行けば、昨日の夕食が作りかけのままだった。鍋や冷蔵庫の中を見ればおでんを作ろうとしていたようだったので、朝食になってしまったが作りかけのおでんを作っておく。

「おはよう、莉子」

『…ん、』

「ほら起きて」

『あと、5分…』

「襲われたいなら寝てていいけど」

『……お、起きます！！』

朝食の準備を終えて莉子を起こしに行けばなかなか起きない。冬場は寒いからか、朝起きるのが苦手なようだった。そんな莉子を起こして朝食をテーブルに並べた。

『あ、おでんだ』

「昨日作りかけだったから朝食にと思って」

『昨日の夜食べようと思ったのに』

「悪かったよ」

そんな会話を楽しみながら朝食を終えればポアロへ行くため荷物を持って玄関へと向かった。そんな自分を見送るため玄関に一緒についてきてくれる莉子といつものやり取りを行う

「行ってきます」

『行ってらっしゃい』

自分に振られる手にきちんと応じ、ポアロへと向かって歩いていった。

10時の開店に間にあうよう準備をして看板を出すために外へ出た。同時に、上に事務所を構えている毛利小五郎と、その娘の蘭、居候中のコナンがお店に入ろうとしていた。

「毛利先生、おはようございます」

「おう、久しぶり。今日も来たぞ」

「安室さん、いつもすみません…」

「いえ、こちらこそいつもありがとうございます。好きな席にどうぞ」

「あれ、梓さんはいないんですか？」

「今日は午後からなんですよ」

この三人に最後に会うのは事件依頼初めてであった。小五郎を誤認逮捕した事情を知っているコナンは自分に対してどこか素っ気ない。事情が事情なだけに仕方ないと割り切る。

それよりも気懸かりな事があり、三人が注文した物を準備しながら思わず溜息をついてしまった。