【降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅱ (ページ34)

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彼のわがままページ34

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彼が眠っているのを確認して、軽く髪の毛を撫でてから暫く寝顔を眺めていた。いつ見ても30歳とは思えない可愛らしい寝顔だ。寝顔見て満足すると寝室を静かに出ていく。

その日は掃除や洗濯をしたりして一日を過ごしていた。10日間自分の服しか洗濯をしていなかっため、彼の洗濯物を干していると、日常が戻ってきたように感じる。

夕方、キッチンで夕食の準備をしていると、寝室から彼が出てきたのに気づく。

『零さん、体調はもういいんですか？』

「ああ、心配かけさせて悪かった」

『無茶ばっかりして』

「すまない」

タオルで濡れた手を拭いてから、彼が近寄ってきたので額に手を当てて熱を確認する。自分の額も触り温度を確認すれば、自分のとあまり変わらないように感じられたので熱は無事に下がったようだった。

『熱は下がったみたいですね』

「みたいだな、ありがとう。久しぶりにゆっくり休めたよ」

『それはよかった』

お互い見つめ合い、そのまま引き寄せられるように唇を重ねる。こうして口づけするのは随分と久しぶりで無意識に求めるようなキスになってしまった。

その時に、火に掛けっぱなしだった鍋が噴いてしまう。ハッとして唇を離してコンロの火を止めようとしたら、彼がすかさず火を止めて再び唇を重ねた。同時に服の中にも手が入ってくる。

すぐにこの流れを理解すれば、今はダメだと理性を取り戻して両手で胸を押して離した。

『ん、…はぁっ…、零さんだめですって』

「なんで？」

『なんでって……怪我もしてるし、病み上がりだし』

「俺は大丈夫だ………莉子、愛してるよ」

『っ……』

本当にずるい人だ。

そんな事を言われたら断れないではないか。

キスをされた耳元で甘く愛をささやかれ、ゾクッとした感覚に襲われた。

そんな彼の行動に胸元を押していた力を緩め、抵抗するのをやめて背中に腕を回した。