【降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅱ (ページ23)

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彼の誕生日1 ページ23

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そういえば、10月6日と言っていた彼の誕生日を祝わずに今に至ってしまった事を思い出した。片付ける手を止めて、プレゼントは用意してあるのだがいつ渡そうか考え込む。

プレゼントを考えるのは本当に一苦労した。彼が何が欲しいのかもわからず、街中をぐるぐる回ったがなかなかいいものが見つからなかったのだ。ネットで色々調べる中でお酒の選択肢があり、彼はお酒が強かったのを思い出し、お酒を送ることを決めた。街中を歩いていた時にお酒の専門店があったので、店員に色々相談に乗ってもらいながらプレゼントを購入することができた。

喜んでくれるだろうか、そんな思いで寝ている彼に視線を向けた。

14時を過ぎようとしていた時に彼が起き上がったのに気づき、作業していた手を止めて視線を向けた。

「おはようございます」

『おはよ、ふぁ…』

まだ眠り足りないのだろうか、起き上がったはいいがまだボーッとしていた。普段からは考えられない抜けた姿なのでこの目に焼き付けておこう。

「結構進んだな」

『ほとんどダンボールに詰めるだけでしたし』

「手伝いに来たのに、寝て悪い。手伝えることあるか？」

『いえ、気にしないでください。うんと、本棚の本を詰めてもらってもいいですか？』

「わかった」

『そういえば零さん、過ぎちゃいましたけど誕生日おめでとう御座います』

「覚えててくれたのか。はは、ついに三十路だよ」

『もちろん！でも、三十路になんて見えませんし、まだ学生でもいけます』

「嬉しくないよ」

改めて彼に視線を向けて顔を見るが、ベビーフェイスなので大学生と名乗っても違和感がないだろうと思い、その事を言ったら案の定怒られてしまった。

『当日会えなかったので今になっちゃいましたけど、これプレゼントです。来ることがわかってたらご飯とかケーキとかも用意してたんですけど』

「プレゼント？ありがとう…誕生日祝ってもらうのなんて警察官になってから始めてだ。気持ちだけで十分だ」

こんな引っ越し準備をしている時にお祝いする形になってしまったが、きちんとおめでとうと言えたので一安心だ。開けてもいいかと聞かれたので、ドキドキしながら頷く。

「へえ、ヴィンテージワインか…あれ、これ俺が生まれた年の…」

『お口に合うかわかりませんけど』

「いや、最高のプレゼントだよ」

『生まれてきてくれてありがとうございます』

(喜んでもらえてよかった…来年もお祝いしてあげたいな…)