【降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅱ (ページ3)

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彼女の本音ページ3

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-降谷零 side-

家に戻り眠っている莉子をベッドに寝かせた。こんなにも無防備な莉子が目の前にいるのに、眠ってしまっている事にもどかしさを感じる。起きないだろうか、そんなことを願いつつも、枕元に腰を掛けてから頬を撫でたり、唇を指でなぞったりする。その時、莉子が薄く目を開けて、自分に気づくなり自分の手を弱々しく握るので、自分は強く握り返す。

『もう、名前で呼んでいい？』

「いいよ」

『零さん……ずーっと会いたかった。早く名前呼んで貰いたかった』

「莉子…」

『ふふっ、うれしい。約束が延びたときにね、悲しかったけど、それよりも零さんの事が、凄く心配だったの。もう会えないんじゃないかなって。大袈裟だけど…そんな予感して………いっぱい心配して、…でも、職場に、なにもなかったように、現れるから…ああ、良かったって思って…車傷付いてたのは、腹立ったけど、…それよりも零さんが無事だったのは…本当に安心して…だから』

「うん」

『零さんのこと、これからも、ずっと待ってるから…ちゃんと帰ってきて』

名前を呼んでと言うから呼んでみたら、嬉しそうに笑う莉子。その後から徐々に言葉をつまらせながら支離滅裂に本音を話し始めた。普段の莉子なら胸に秘めて絶対に口にしない本音。笑顔の裏に隠れていた莉子の本音に胸が締め付けられる。

そして、《ちゃんと帰ってきて》と赤くなった目でこちらを見ながらお願いしてきた。

(莉子の所が俺の帰る場所なんだな)

「ちゃんと帰ってくるから」

幾つもの顔をもつ自分だが、本当の自分を待ってくれている人がここにいる。嬉しさから軽く微笑み、きちんと帰って来ることを約束してから唇を重ねる。すると自分を求めるように莉子からキスを深めて首に腕を回してきた。

きっと、朝起きたら今日の事はあまり覚えてないだろう。帰ると約束したこも、自分に抱かれた事も。目覚めて服を着てない事に驚き、真っ赤な顔で自分の事を責めるはずだ。そんな莉子の姿が目に浮かぶ。

明日はポアロのバイトなので朝は比較的ゆとりが持てる。2人でゆっくり眠り、2人でゆっくり朝食を取り、行ってらっしゃいと莉子に見送られる。一見すると普通の光景だが、自分達からすると貴重で大切な時間。

(明日が来るのが楽しみだ)