【降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅱ (ページ18)

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未来の話ページ18

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『明日は？』

「ポアロでバイトだ」

『ならちょっとはゆっくり出来ますね』

「ああ。そういえば…ちゃんと莉子の両親にも挨拶行かないとだな」

『私、両親いなくて、育ててくれたのは母方のおじいちゃんとおばあちゃんなんです。母方の実家はかなり田舎にありまして…』

「え、そうなのか？なら時間見つけて行かないと」

『ふふ、喜ぶと思います。零さんのご両親は？』

「俺もいない。育ての親も小さい頃亡くなって━━━━」

暗い寝室のベッドの中で、初めてお互いの家族についての話をした。彼の親や育ての親が亡くなっていると言う事には正直驚いた。自分は両親が亡くなってしまっても母方祖父母に引き取られ、何不自由なく育ててもらった。しかし彼は過酷な幼少期を過ごしている。胸に何かもやもやしたものを感じて、何も言わず彼の背中に腕を回した。

「莉子…？」

『私はちゃんと零さんの隣にいるし、いつでも待ってますから………。それと、零さんとちゃんとした夫婦になって、いつか私達の子供が生まれたら…たくさん愛して、ずっと側にいてあげたいですね』

「そうだな、…それとありがとう」

自分の言葉を聞いて、彼も自分の背中に腕を回して抱きしめ返してきた。自分の想いは彼にも伝わったようだった。

『なんか、零さん、帰ってきたときよりも表情が良いですね』

「まぁ、三徹だったからな…でも、三大欲求の2つが満たされたわけだし、元気も出るだろ」

『一番大事な睡眠欲が満たされてませんけど…。でも、三徹…そんなの続いたらいつか倒れちゃいそうですね』

「今日は早く帰るために無理しただけだし、特別だよ」

『そうですか？』

「ああ。家はどうする？無駄に広いこの家に越してきてもいいけど」

『ふふ、じゃあそうします』

「引っ越しの手伝いはするよ。荷造りは任せる形になるが」

『本当ですか？嬉しいです。いつ頃休み取れそうですか』

「今月、どこかで休みを見つけてまた連絡するよ」

『はい、お願いします』

近い未来の話をしながらウトウトし始める彼。暗くて時計は見えないがきっと日付が変わる頃だろう。

間もなく隣から彼の寝息が静かに聞こえてきた。幼い表情で眠っている彼を見つめながら明日の事を思い浮かべる。

明日は自分が早く起きて朝食を作り、彼を起こす役目に回ろう。朝食のメニューはどうしよう、そんな事を考えているうちに自分も眠りについてしまった。