【降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅱ (ページ39)

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心機一転ページ39

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-降谷零 side-

バイト終えて家に帰宅してドアを開けると美味しそうな匂いが漂ってくるのがわかる。莉子が夕食を作ってくれているようだった。そのままリビングへといけば帰ってきたことに気づいたのか、視線を此方に向けられ、莉子に声を掛けられた。

『零さんおかえりなさい』

「ただいま。あのさ、莉子。いくつか話があるんだが…」

『なんですか？』

「まず、莉子に謝らないといけないことがある」

いつまでも隠してられるものではないので、意を決したように料理をしてる莉子に近寄り車のことを話始める。

「例の事件で、車を廃車寸前にしてしまった」

『………』

「数ヵ月前、綺麗にしてくれたのに、申し訳ない」

『何となくわかってました』

「え…」

『鍵も玄関に置かれてなかったし、駐車場に車が留まってなかったから。大きな事件のあとは必ず壊して帰ってきますからね、零さん』

流石と言っていいのか、車に関しては信用がないのかその言葉には驚いた。驚きから言葉が出なかったが、表情を変えないまま淡々と話続ける莉子を見る。声はわりと穏やかだが多分怒ってることがわかった。そして、完成した料理がカウンターテーブルへと並べられた。

『食べないんですか』

「あ、ああ。食べるよ」

食事を始めたがいつもと違い会話がない、この重い雰囲気に耐えられなくなった。黙り込むということは、相当怒っているに違いない。こんなに怒っているのは初めてだ。きちんと話し合おうと思い莉子に話しかけた。

「怒ってるよな」

『そうですね』

「悪かった」

『…車は壊れたら直せたり、新しいもの買えばいいけど、零さんは戻ってこないかもしれない。…零さんのこと信じなきゃいけないけど、それが私の役割だけど…何でもない…ごめんなさい。やっぱり怒ってないから忘れて』

「莉子」

箸をおいて、思いを語ってくれる莉子だったが、途中その場から離れて寝室に入ってしまった。

莉子は大好きな車よりも自分の心配をしていた。そして気づいた。今まで通りでは駄目なことに。

今までは自分の危険を省みずに事件に飛び込み、自分の危険よりも守らなければならないものを優先していた。しかし、大切な人ができた今それでは、せっかく守った人をを悲しませる結果になってしまう。

そんなことまで考えが回らなかった。

(大切な人、家族を作るとは生半可な気持ちじゃだめなんだな)

話をするため莉子のいる寝室へと足を運んだ。