【降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅱ (ページ30)

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胸騒ぎページ30

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『零さん、気をつけて』

「行ってきます」

サミット開催3日前、警備に行くという彼を早朝に見送り玄関のドアを閉めた。11月に入り、寒さも一層強くなる。今年の冬はかなり冷えると言われており、外で仕事をするという彼の体が心配でもあった。

(風邪引かないといいけど…)

今日は朝早く目を覚ましたので、仕事へ行くまでにはまだまだ時間があり、のんびりと仕事へ行く準備をした。
彼の家に越してから、職場は少し遠くなったためバイクで出勤しているが冬のバイクはかなり寒くて堪える。寒さを少しでも和らげるため、厚手のネックウォーマーとジャケットを身につけ防寒対策をする。時計をみればそろそろ時間なので行こうと、家を出て鍵を閉めた。

職場につき、今日の予定を確認すれば朝から晩までみっちり予約が入っていた。たまには忙しいのもいいかと軽く微笑み、軽くため息を溢しながら仕事の準備に取りかかった。

仕事が始まるが、作業は思いの外長引き、時間が押しているため休憩を返上して仕事に取り組む。夏の仕事も辛いが、冬も冬で手が悴むし体の芯から冷えるためなかなか辛い。

お昼過ぎになり、仕事が一段落して職場内に入れば暖かさでホッとする。お昼御飯食べようとと思い休憩スペースに行きお弁当を広げながらテレビに視線を向ければ、ニュース速報が入った。何かと思い意識を向ければ、サミット会場の統合型リゾート施設であるエッジ·オブ·オーシャンで大規模爆破事件があったとの事だった。

確か今朝、彼は爆破事件が起きた所の警備に当たると言っていたことを思いだし、頭が真っ白になる。以前も東都水族館で大きな事件があり、そのとき感じた胸騒ぎと似た不安を感じた。

「南波さん、どうしたんですか」

『え、いえ…何でもないです…』

同じく休憩に入ってきた同僚の井戸が、自分の様子をみて心配そうに問い掛けてきた。事情を話すわけにはいかないため、何でもないと誤魔化す。ご飯を食べるために休憩スペースに入ったが、食欲がなくなってしまい、お弁当を重ねて包み直した。そして立ち上がる。

「あれ、休憩しないんですか？」

『やり残した仕事思い出しちゃって。井戸さんはごゆっくり』

テレビなんて見ていたら心配でどうにかなってしまいそうだっだ。逃げるように休憩スペースを出れば、残っていた仕事に取りかかる。

頭に彼の安否が過るが今は仕事に集中だ。

不安を紛らわす為にその日は仕事に没頭した。