【安室透/降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅰ (ページ9)

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彼の正体2 ページ9

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寝板を足で動かして車の下から出てくれば、視線の先にグレーのスーツを着た彼が立っていた。やけに大人っぽく見える。普段は私服なので、寝板に寝転がったままスーツ姿の彼を珍しそうに見ていた。

(就活かな…？)

「どうしましたか？」

『いえ、…よいしょ』

起き上がってタオルで汗や汚れを拭き取る。立ち上がってから、修理した箇所について分かりやすく説明をしつつ、確認作業も一緒にしていく。

『はい、以上です』

「すごい、完璧ですね！ありがとうございます！」

『次、傷付けたらもう直しませんよ！？こんな貴重で、美しいbodyのRX-7傷付けるなんて…！エンジンだってかなり脆いのに酷使してるし、タイヤも履き替えて一年もしないうちにかなり磨り減らしてる！』

「はは、すみません。でも僕の愛車のこと大切に思ってくれるんですね。嬉しいです」

『当たり前ですよ！どんな車でも大切なんです。でも、特にRX-7は個人的に好きな車なんですよね』

「そうなんですか？じゃあ僕の車で今度ドライブにでも『え、嫌ですけど』…」

『RX-7は好きですけど、私、走り屋って嫌いなんです。特に安室さんみたいな質の悪い走り屋』

「いや、僕、走り屋じゃないんですけど…」

『じゃあ何で車傷付けるんですか！普通に乗っていたらあんな傷付けないですよね？』

「仕事柄つい無茶しちゃうんです。僕ポアロでバイトしつつ、私立探偵してるんですよ」

『え、私立探偵！？！？学生じゃないんですか？就活生かと思いました』

「え、僕29歳ですよ？？！」

何度か車を直していて付き合いはあったが、安室のことは何も知らなかったため正直、職業と年齢を聞いて驚いてしまった。

(学生じゃないの？！童顔過ぎじゃない？)