【安室透/降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅰ (ページ43)

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懇望ページ43

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嫌な予感をか抱えたまま、彼と会う約束の前日となった。しかし、連絡が一向に来ない。仕事中も隙を見て携帯をチェックするが彼の名前はなく、不安は募るばかりだった。

(今日はミスしてばかりだったなぁ)

仕事を終えて工具の片付けや掃除をしながら一日を振り返る。点検ミス、作業ミス、書類ミスなど普段しないようなミスを連発してしまった。上司にも怒られてしまう始末で、一人になるなり深い溜め息をつく。連絡がないため、必然的に明日の予定はなくなりそうだ。

片付けを終えてから同僚に挨拶を済ませ、作業服のままバイクに跨がる。エンジンをかけようとした時に着信があった。慌ててポケットから携帯を取り出し画面を見るが非通知からだった。誰だろうかと疑念を抱いたまま電話に出る。

『もしもし』

「莉子か？」

『れ、零さん！！？連絡ないから心配し「悪い、明日の約束守れそうにない」』

『……っ、…大丈夫なん…「また連絡する」』

電話にでてみたら明日の予定のキャンセルの電話であったが、詳細について聞こうとしたら直ぐに切られてしまった。予定がキャンセルになった事よりも、電話の対応から、彼が今危険な状況下にいることがわかった。胸が締め付けられ、思わず胸を押さえた。

(零さん、大丈夫なんだよね…)

もう会えないかもしれない、そんな考えが頭を過る。

(何を考えてるの、私は！)

慌てて涙をぬぐって最悪の考えを振り捨てた。

(泣いてなんていられない。信じなきゃ…)

唇を強く噛み締め、ごしごしと腕で涙をぬぐい直してから帰路に着いた。