【安室透/降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅰ (ページ42)

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事件発生ページ42

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-安室透 side-

莉子と会えるまで残り三日となったのに、警察庁に侵入者を出してしまった。しかもその侵入者は黒の組織の幹部、ラムの腹心で情報収集のスペシャリストであるキュラソーだ。キュラソーが警察庁から盗んだ情報は、世界中のスパイリストである。そんな情報が組織に伝わってしまったら世界中が大パニックだ。

カーチェイスでギリギリまで追い詰めたのに不覚にも行方を失ってしまった。しくじったと、キュラソーを捕らえられなかった自分を恨む。

走らせている車の中でこれから自分がどうすればいいのか考える。まずは風見とコンタクトをとろう。自分は公には捜査できないため、自分は裏で、風見たち部下には表で捜査してもらう。その後も色々考えを巡らせた。

スパイリストが知られてしまったら、自分がスパイとバレて、組織から自分は消されてしまうだろう。国の機密情報を守るためなら自分が消されても致し方ないと思っている。生きたいがために、助けを乞うこともしないだろう。勿論、スパイである事は認めるつもりはないが。

しかし、国以外に大切に思う者が出来てしまった。自分のせいで、組織に莉子が捕らえられ、危害を与えてしまうかも知れない。こんな時に、自分の弱味になるとは自覚していたつもりだったが、考えていたのと、実際味わうものはやはり違った。こんなに不安に感じてしまうとは。

どちらにせよ、諦めることは絶対にしない。国も、莉子もどちらも守ってみせる。それが今、自分に出来ること。

残念ながら、3日後の約束は守れそうにはない。電話越しにでも伝わった嬉しそうな莉子の表情。約束を破ってしまうため心苦しさは残る。空きを見て連絡を入れなければ。そう思って強くアクセルを踏み込んだ。