【安室透/降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅰ (ページ5)

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喫茶ポアロ3 ページ5

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車を修理している時に、愛車について聞かれたので誰かも分からず夢中になって話していた。

『バイクについて詳しいんですね』

「ええ、僕も車とか結構好きなので」

『そうなんですか。私もお話しできてとても楽しかったです』

修理を終えたところで工具を片付け、珈琲を頂こうかなと立ち上がり、後ろに立っていた長身の男性を見た時に気づいた。

『え…？』

「こんにちは、莉子さん」

『何でここに？』

「ここ、僕のバイト先なんですよ」

『……え…』

彼のバイト先とわかった途端に帰りたい気持ちが出てきたが、先ほど対応してくれたウェイターに、珈琲をお願いしていたのでお店に入ることにした。

「安室さんお帰りなさい。あ、修理終わったんですね？」

「ただいま戻りました。梓さん、彼女と知り合いなんですか？」

「いいえ、さっきバイクの調子が悪いからお店の前で修理させてくださいって声かけられたので」

「そうなんですか。ゆっくりしていってくださいね」

『あ、はい…なんとかなりました。場所を貸していただいてありがとうございます』
　
「どういたしまして。そう言えばお姉さん、珈琲ですよね。今お持ちします」

梓が珈琲を淹れに行くのを見送りつつ、自分は一人なのでカウンターに腰かけた。気に入らない人のバイト先であったが、梓や雰囲気のいいお店に、もやもやした気持ちは中和されている気がした。

珈琲を頂き、一口二口飲んでいると、女子高生や女子大学生くらいの客が数人入ってくるなり彼に話しかけているのがわかった。聞き耳を立てていると《安室さんが運転する車に乗りたい》《ドライブ連れていって》などといった会話だった。

(…確かに私も乗ってみたい。RX-7に。美しいbody。美しいエンジン音…)

(でも私は絶対にあの人の隣には乗りたくない…あんな傷付け方をする、質の悪い走り屋が運転する車になんて…)