【安室透/降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅰ (ページ38)

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約束1 ページ38

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家に帰ってから一番最初にシャワーを浴びた。髪の毛や体を洗ってお風呂を出れば髪の毛を拭きながらリビングに戻る。ソファに腰かけた時に丁度着信音が鳴った。画面を見れば【降谷零】の名前。慌てて電話に出る。

『もしもし、零さん？』

「もしもし、今大丈夫か？」

『はい』

「今日は来てくれてありがとう」

『いえ、今日午後からお休みで海にツーリングに行ってたんです。そこでコナンくんと会って、ポアロに行こうって言われたんです』

「彼も粋なことしてくれるものだ」

『そうですね、…今日は会えて嬉しかったです』

「ゆっくり話せなかったのは残念だが」

『仕方ないですよ、【安室さん】モテモテだったし。鼻の下伸ばしちゃって』

「正直莉子には見られたくなかったよ。鼻の下なんて伸ばしてない」

『ふふ、今日の仕事は終わったんですか』

「ポアロは終わって家にいるが、これから公安の仕事だ。着替えを取りに家に戻ってる」

『そうなんですか。体には気を付けてくださいね』

「ああ…。二週間後にはその仕事は片付く予定で、その後は珍しく2日の連休なんだ。莉子さえ良ければその2日一緒に過ごせないか？」

『私もそこお休みなんですよ、零さんがよければ一緒にいたい…』

「なら決まりだな。また家来るか？」

『はい、行きます』

「それはよかった。じゃあ、莉子また近くに連絡する」

『零さん、行ってらっしゃい』

「行ってくるよ」

仕事へ行くという彼を電話越しで見送る。仕事の合間に、忙しいであろうに電話越しであれ、声を聞けて嬉しかった。しかも、次に会う約束も出来た。次は、ポアロで言われた彼の車の車検の時だと思っていたので余計に嬉しく感じる。

5分よりもずっと短い通話だったのに、こんなに幸せな気持ちで満たしてくれる彼。以前は会いたくなかった彼。今は会いたい気持ちで溢れる。

(あぁ…早く会いたい)

《行ってくるよ》と最後に放った彼の声が耳の奥で響く。その余韻に浸りつつもベッドへ移動して眠りについた。