【安室透/降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅰ (ページ37)

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嘘ページ37

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久しぶりに話せてとても嬉しかった。本当は二人でのんびり過ごしたいがそんな欲張りは言えない。とりあえずは、彼が言っていた車検の連絡を待とうと思った。

コナンが彼と何やら話をしていたが、自分はそろそろ帰ろうとヘルメットを手にした。

「莉子ちゃん」

『あ、橘さん、こんばんは』

「へえ、莉子ちゃんZX-10Rに乗ってるんだね。俺はXV1900CUレイダーに乗ってるんだ」

『え、XV1900CUレイダーに乗ってるんですか。あれ、加速もいいし、ハンドリングも最高なんですよねぇ』

「はは、相変わらず莉子ちゃんは詳しいね。なんか嬉しく思うよ。あ、そうだ、今度さツーリング行かない？」

『へ……えと、機会があれば』

「いつ仕事休みなの？」

『シフト表見ないと何とも…』

「ママ～お待たせ！！早くお家帰ろうよ。」

帰ろうと思ったときに、誰かが話しかけてきた。振り返ってからその人が常連客である事に気付いた。今日は色んな人に会うなと思いながら、バイクの話になり目が輝くが、すぐにツーリングへ誘われた。何とか誤魔化そうかと思ったが、なかなか逃げられない。その時コナンから《ママ》と呼ばれ
手を握られた。

(ママ！？)

「ママどうしたの？このおじさんは？」

『あ、うん、お仕事でお世話になってる人なの。ご挨拶は？』

「へえ。おじさんこんばんは」

「え、莉子ちゃん結婚してたの？！」

『ええ、実は二十歳の時に…』

「あ、そうだママ！パパもすぐ帰れるって。」

「うん、莉子すぐ帰るよ。ご飯は家で食べるからよろしくね。コナン、ママをあまり困らせるんじゃないぞ」

「はぁーい」

「じゃ、じゃあ莉子ちゃん、またね！」

常連客がいなくなってから、驚いたように二人を見た。なんだ、先程のやり取りは。結婚していて、子供がいる設定になってしまった。

『コナンくん！なに言ってるの？！びっくりしたあ…』

「へへへ、ごめんごめん。莉子姉ちゃんのピンチだと思って。これであのおじさんが話し掛けてくることないね」

「流石だな、コナンくんは」

『でも、助かったよ。ありがとうコナンくん』

「どういたしまして」

『じゃあ、今度こそ私はこれで。おやすみなさい』

少し驚いてしまったが、これで先程の人から声を掛けられる事はないだろう。正直声を掛けられて困っていたのだ。再度お礼を言って頭を下げ、バイクに跨がる。足を踏み込みエンジンをかけるなり自宅へ戻った。