【安室透/降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅰ (ページ36)

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不器用3 ページ36

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-安室透 side-

女性客で賑わう日が続く。暫く会えてないため莉子に来て欲しいと思うが、この状態で来られたら莉子を困らせてしまうと思った。そんな時、神出鬼没のコナンに連れられて莉子が入店した。久しぶりに会えて嬉しい反面、怒らせたらどうしようかと珍しく考えていた。何も知らない女性客は、自分を食事に誘ったりする。

莉子を気にしつつもコナンが頼んだハムサンドを慣れたように作っていく。完成したものと莉子が注文したケーキをテーブルに置いた。表情はいたって穏やかであった。それにしてもコナンはどうして莉子と一緒にいるのだろうか、不思議に思った。コナンに聞いてみたところ、《海で会ったから連れてきた》とのことだが、手口がまさにナンパだった。

(俺から莉子のこと頼んだが、侮れないな…)

別の注文を受けて、調理しているときに二人の会話が聞こえた。聞き耳をたてていたら、莉子と最後に会った日の朝に作ってあげたサンドウィッチの話をしていた。視線を感じてそちらを見れば、コナンがニヤニヤしてる。

(バレバレか)

困ったように肩をすくめた。

『ごちそう様でした、お会計お願いします。コナンくんのも一緒で』

「え、いいよ」

『子供は遠慮しないの』

「う、うん。ありがとう莉子姉ちゃん」

夕方になり客も徐々に少なくなり始めた。莉子と少し話せるだろうかと思った矢先、会計をお願いされた。仕方ないと諦めたようにしながら自分が二人分の会計をした。

そう言えばと帰ろうとした莉子に声をかけた。

「莉子さん、僕の車今度車検なんですよ。莉子さんのところで車検お願いしてもいいですか？」

『車検…あぁ、確かにそろそろでしたね。もちろんですよ。日程決まったらまた連絡してください』

「ありがとうございます」

『そうだ、車傷つけてませんよね』

「はは、傷つけてませんって。僕ってそんなに信用ありませんか？」

『ありません。……ふふ、じゃあまた』

最後に莉子と話せてよかった。今夜は公安の仕事があるが、今夜からの仕事が片付けば久しぶりに連休が貰える。バイトが終わったら莉子に連絡して、連休を一緒に過ごそう。