不器用1 ページ34
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後ろのコナンを気にしながら一時間程掛けて米花町へ帰ってきた。ポアロまではもうすぐだ。彼と会うのは久しぶりで、以前のように顔馴染みとして対応しなければと少し緊張していた。ポアロへ到着すれば以前のように邪魔にならない所にバイクを停めて、コナンを先頭にお店の中に入った。
「いらっしゃいませ。あ、コナンくんと莉子さん、こんにちは。すみません、カウンターの席でもいいですか？」
「安室さんこんにちは。うん。いいよね、莉子姉ちゃん」
「どうも…うん、いいよ」
接客を受けて席に案内される。【安室透】は自分と会っても表情すら変えず、いつもの爽やかな笑顔を浮かべていた。
お店は随分と賑わっており客の大半は女性客だ。お目当ては彼なのだろう、背中を向けていて様子を伺うことは出来ないが、会話を聞く限り彼に媚びているのがわかった。
「安室さん、今日バイト何時までなんですか？終わったらごはん行きましょうよ」
「はは、ありがとうございます。でもこの後と別なバイトがあるので、お気持ちだけ受け取っておきますね」
「安室さんって彼女いるの？」
「残念ながらいませんね」
「なら私、安室さんの彼女立候補しちゃおうかな！きゃー！」
『あ、榎本さん、アイスコーヒーと、チーズケーキもらってもいいですか？コナンくんは何にする？』
「じゃあ僕、ハムサンドとオレンジジュースで。梓さん、今日、かなり賑わってるね」
「アイスコーヒー、チーズケーキ、オレンジジュース、ハムサンド…ね。そうなの。世間は今夏休み中でしょ？安室ファンの高校生とか大学生が来てるってわけ」
「はは、安室さんは相変わらずモテモテだね」
他の女性達と彼の会話を聞いていられなくなり、メニューに意識を向けてから梓に注文をした。仕方のない事と理解してはいるが何故かモヤモヤする。このモヤモヤは何だろうか…自問しつつも、元気そうな彼をみて安心した。危険な任務が与えられていると言う事で身体の心配をしていたが、何とかやれているようだ。
(零さん、元気そうでよかった。今日は、食べたら大人しく帰ろう)
「莉子姉ちゃん、ここのハムサンド食べたことある？安室さんが考えたハムサンドでね、すっごく美味しいんだよ」
『ここには滅多に来ないから食べた事はないなぁ』
「そうなんだ、なら僕の分けてあげる」
『本当？ありがとう、コナンくん』
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作者名：ゆきだるま | 作成日時：2018年5月6日 19時
