【安室透/降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅰ (ページ29)

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幸せ2 ページ29

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-安室透 side-

自分の秘密を相手に伝えた夜、自分のことを受け入れてくれた莉子を何度も抱いた。初めてと言うこともあり、一つ一つの反応がとても愛らしかった。その反応を見るため、ついつい意地悪をしてしまう。

行為後、案の定莉子に怒られた。決して本気ではないが、こんなやり取りすらも幸せに感じる。

朝が早い事を告げたら、《見送りをしたいから起こして欲しい》と言われた。その言葉が非常にくすぐったくて思わずにやけそうになる。顔を隠すために莉子を抱き締めて、額にキスを落としてから眠りについた。

数時間後、目を覚ました。腕の中に静かに寝息をたてている莉子がいたので寝顔を見つめる。軽く微笑み、起こさないように離れてベッドから降りては仕事へ行くための準備を進める。

莉子が起きてから食べられるように、朝食を作っておこうとキッチンに立てば、ポアロの人気商品であるサンドウィッチを作った。盛りつけたお皿と、【朝ごはん食べてから仕事に行くように。降谷零には暫く会えないけど、安室透なら時々ポアロにいるから会いたくなったら来るといい。鍵は持ってて】と書いたメモ用紙、家の合鍵を併せて、キッチンカウンターに置く。腕時計を見て時間を確認すると4時を回るところだった。

(そろそろ時間か)

エプロンを脱ぎ、スーツの上着を羽織ってから莉子の見送りを受けるため寝室へと向かう。静かにドアを開けてベッドに近寄り身体を揺すった。

「莉子」

『ん、…れえさん？』

「行ってくるよ」

『…れえさん、行ってらっしゃい』

半ば寝惚け状態で自分を見送る莉子。非日常が日常になる日が来る事を願って家を出た。

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映画で安室さんを見て、安室さんの夢を見たいと衝動的に書いた小説なのに、沢山の方に見て頂き本当に嬉しく思います。ありがとうございます。

『幸せ』で描いたような二人の非日常が、いつか二人の日常になる頃が、完結になる目安にしようかなと考えています。まだ、書きたいお話がいくつかあるので、もう少し続くかとお思いますが、それまでどうぞお付き合い下さい。