【安室透/降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅰ (ページ27)

今日:12 hit、昨日:1 hit、合計:248,128 hit

秘密2 ページ27

¯

彼がお風呂から上がり自分の隣に腰かけたと同時に、《話を聞いてもらいたい》と若干俯き加減で話しかけてきた。その横顔はどこか寂しそうだった。

(何でそんな顔するの…？)

心配から手を握るがとても冷たかった。視線を向けても手を握っても反応はしない。それでも離すことはせず、彼の話に耳を傾けた。

(警察庁？ゼロ？降谷零？スパイ？)

話は終わったが、内容は現実離れしており、彼が最初言っていた通り直ぐに飲み込む事はできなかった。しかし、警察庁で働いている事、《安室透》は表の顔で本当は《降谷零》である事、危険な仕事をしている事だけは飲み込むことができた。

何か言わなければいけないと思考を巡らせるが、その言葉が出てこない。

しかし、彼がどういった状況に措かれていたのか知った今でも、恋人となったことに後悔はしてないし、別れようと思わない。

結局、自分の想いを伝える言葉は思い付かなかったが、彼を見つめたまま、手を更に強く握った。そして彼の名前を呼んだ。

『零さん』

名前を呼んだら、彼が手を握り返してこちらを見てくる。その表情と動きから自分の想いが伝わったとすぐに理解できた。そして顔が近づいてきて唇が重なった。