【安室透/降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅰ (ページ26)

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秘密1 ページ26

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-安室透 side-

『お風呂ありがとう御座います』

「おかえりなさい。じゃあ僕も行ってきます」

莉子が帰ってきて自分も着替えを持ってから風呂に行く。上がってから自分の事を話そう、そう決めた。暫くして風呂から上がりリビングに戻り、ソファの上に座りテレビを見ている、莉子の隣に腰掛けた。

「莉子さん」

『うん？』

「僕の話を聞いてもらえませんか？」

『え、話？』

「はい、僕、莉子さんに秘密にしてる事があって。莉子さんと恋人になった今、話さないといけないと思ったんです。多分驚くと思うし、直ぐに飲み込めないと思います。話を聞いて僕に愛想を尽かすかもしれない…」

『…大丈夫です、聞かせてください』

ゼロは秘密主義であり、任務はもちろん、自分がゼロであることを口外してはいけない。しかし、愛する人ができてしまった以上、伝えなければならないと感じてしまった。それが違反だとしても。

愛してしまった人に拒絶されるかも知れない。

その時、風呂上がりなのに緊張で冷えてしまった自分の手を、暖かい莉子の手が包んだ。莉子の視線は自分を見ていた。話終えたら手放されるかも知れないと思い、手も握り返さず、視線も合わせなかった。強がっているようで脆い自分。覚悟を決めて話始めた。

「僕…俺は、警察庁警備局警備企画課、通称ゼロ、本名は降谷零。自分がゼロと言うことは知られてはいけないから、莉子が良く知る安室透は降谷零の表の名前だ。ゼロには極秘任務が与えられていて、俺は今ある組織にスパイとして潜入してる。そこでのコードネームバーボンだ。かなり危険な任務だし、スパイだと組織に知られたら殺されるだろう。だから、例え外で俺と莉子が会ったとしても、その俺は《バーボン》なのか《降谷零》なのか《安室透》なのか…どの俺かはわからないかもしれないから、他人の振りをしなければならない。恋人らしい事だってちゃんとしてあげられない。危険な目に会わせるかもしれない。

…それなのに、俺が何者か名乗る前に気持ちを伝えてしまった。付き合う前に、自分が何者か名乗るべきだったのに、自分の措かれている状況よりも、莉子に振り向いてもらいたいという気持ちが勝ってしまったんだ。悪かった…」

『………………零さん』

話を終え、莉子は自分の名前を呼んで手の力を強めた。自分は莉子に拒絶されずに受け入れられた事を悟った。それから、自分も手を握り返し莉子に視線を向けて唇を重ねた。