【安室透/降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅰ (ページ16)

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急展開2 ページ16

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-安室透 side-

ドライブデート当日。約束してから一ヶ月程経つ。公安警察、喫茶ポアロに私立探偵、闇の組織へのスパイとしての潜入…トリプルフェイスを持つ自分にとって、休みなど殆ど無いような物。その多忙な中、なんとか一日だけ休暇を作る事ができ、休みの調整がわりとしやすいという莉子に、休みを合わせてもらった。

朝方まで公安の仕事をこなし、自宅に戻るなりシャワーを浴び、寝室のベッドに倒れ込み軽く睡眠を取る。アラームによって起こされて、待ち合わせに間に合うよう準備をしてカフェへ向かった。

少し早めについてしまったため、持っていた本を読みながら待っていた。そこに莉子が表れ、声をかけられると同時に視線を向ける。

(綺麗だ…)

それが心の第一声だった。派手すぎず、シンプル且つ上品な洋服を身に付けていた。自動車整備士としての莉子、ライダーとしての莉子、そしてその二つとは異なる今の莉子。《愛おしい》《独占欲》《嫉妬》何とも言えない様々な感情に襲われる。莉子に悟られないよう、爽やかな笑みを浮かべその場を凌ぐ。

カフェにて暫く他愛もない会話をして距離を縮めようとする。しかし、終始気持ちはブレない様子の莉子。

(しぶといな。長期戦覚悟…か？)

そんな事を思いつつ、早速海辺へドライブに行くためカフェを出てパーキングまで車を取りに行く。パーキングの支払いを済ませてから、カフェの前に車を止め、クラクションを鳴らし莉子に知らせる。此方に気づく莉子の表情を見て、緊張しているのがわかった。

車に乗り込むと同時に車を走らせた。

莉子の様子がおかしい。自分を見ようともせず、外ばかり眺めている。会話は成立しているが何処か他人行儀。そわそわ、よそよそしいのだ。時折見られる莉子の横顔を見ると、頬が微かに赤い。

(あ、イケる。)

莉子の気持ちが此方へ向いた理由はわからないが、そう確信した。しぶとい莉子であったため、長期戦を覚悟していたが、思いの外早かった。

車を海沿いの駐車場に止めて歩く。太陽の光が反射する海が眩しく、風によって乱れる髪の毛を抑える莉子がやけに色っぽい。

会話の途中で、単刀直入に恋人の有無を聞くと《YES》と答える。

(どういうことだ？)

少々焦りを感じ、気になって詳細を聞く。最初に出てきた名前を聞いて安心した。

(ああ、焦れったい)

話の途中であったが、莉子の言葉に被せるよう気持ちを伝えた。