【安室透/降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅰ (ページ11)

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恐怖のお誘い1 ページ11

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彼の正体を知り正直驚いていた。いつも車を損傷させて、修理費のトータルはかなりの額になっていた。しかし、支払いは滞ることなく一括で支払ってくれる。お金持ちの息子なんだろうと勝手に思っていたが、まさか私立探偵をしていたとは思いもよらなかった。

『その、失礼しました…』

「本当ですよ、失礼極まりない。」

確かに失礼な話だろう。申し訳なく感じて深く頭を下げて謝罪をする。頭を上げようとした時に思いもよらぬ条件を出された。

「許してあげてもいいですけど、ドライブ付き合ってくれます？」

『え…』

(ドライブ…？)

RX-7には乗りたいが、正直、彼の運転する車に乗りたいとは思わなかった。29歳で探偵をしていることはわかったが、それ以上に身の危険を感じた。性的な物ではなく生きるか死ぬかの危険。これだけ車を損傷させるという事は、運転が荒いのではないかと考えていたのだ。

(乗りたい…非常に乗りたい。でも死ぬかもしれない…)

ジレンマを抱き、悩みに悩んで決めた。

『わかりました…お願いします……但し安全運転で』

「そんな怯えなくても、そのつもりですよ。今日行けますか？」

『今日はちょっと無理ですね…』

行く事は決めたが、今日は絶対に行きたくない。何故なら今日はいつも以上に忙しく汗をたくさんかいた。そして莉子は家から職場が近く、作業着をきて仕事に行く事が多い。今日も案の定作業着を着て出勤し、私服を持っていないからであった。

「そうですか、ならまた日程を改めましょうか。連絡先を交換しても？」

『あ、はい』

自分が今日は行けないと言っても、強要はして来ず、彼の計らいで後日行くことになり、連絡先を交換した。閉店間際になり、事務所に行くなり書類のサインと、修理費をカードで支払って貰ってから、自宅へ帰る彼を見送った。