ep.207 ページ8
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ジンさんと会ったあと、気分よく御手洗に向かって扉を開けた瞬間目に飛び込んできたのは、
床にへなりと倒れ込んでいるジョングクさんだった___
「!?」
え?な、…!
「ジョングクさん!ジョングクさん?!」
「…ぅ、」
「あっつ…!ね、熱ですか?吐きそうですか?起きれますか?」
あたふたしながら声をかけると首を横に振って、念仏のように「へいき。俺はステージに……」って。
全然平気じゃないのに。顔色悪くて、こんなに唸ってるのに…っ
どうしよう…!どうしよう、……!
「ステージ…行かなきゃ…っ」
「っ、」
「まってる、…から…」
そこでサッと頭の中を過ぎったのは、数年前のライブの時のことで、あの時もフラフラになりながらステージに上がって行ったジョングクさんを思い出した
「…ジョングクさん。じゃあ歩いてください。」
「……ん、」
この人は何を言ったって、きっと舞台に立つ。安静にしろとか、そういう言葉を跳ね除ける。だったら___
「誰にも言わないですから」
だから
「そこまで言うなら、『完璧な黄金マンネ』を見せてくださいね。」
「…ん」
「よいしょっ、と、こら、しょ…重…っ!!」
担ぐようにしてずりずり歩く。医務室に連れていくとベッドに横たえて、数人のスタッフさんだけに事の成り行きを伝えて処置をしてもらった
その間ずっと右手を握ってた
「意地。貫き通すなら、ちゃんと目を覚ましてクダサイヨ…?」
荒い息を繰り返すジョングクさんの頬に手を添えて耳元で囁く
「……おっぱ、」
「Rou…?」
「!」
丸い目が開いて、しんどそうにしながらも冗談に笑ってくれて
ああ
よかった、泣きそう…っ
「そろそろ行く」
ふらっとよろけながら立ち上がり衣装を正すジョングクさん
「ほら。Rouも行くでしょ」
「……。」
「なに?」
「…なんでも『完璧』である必要はないんデスよ」
「ふっ、なに突然…」
ぎゅう、と後ろからオッパを抱きしめる
「無理は許します。でも、無茶は許しませんからね…っ」
「!」
ふっと離れてやんわり微笑むと、ジョングクさんはにやりと笑った
「ほんと言ってくれるよね。後輩のくせして(笑)」
「だって暴走うさぎを止めなきゃいけません」
「暴走うさぎってやめてくれる?」
「じゃあなんですか、筋肉野うさぎチャンにしますか」
「あー、ほんと生意気」
ぽん、と頭に手が乗る
「___助かった、A」
「!」
俺を見ててよねって言い残して、去っていった
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さく - グクが切なくて号泣しました、、。 (2022年6月23日 21時) (レス) @page20 id: 7083a913c1 (このIDを非表示/違反報告)
なる - すばらしかった!一気に読みました!映画にしてほしいくらい! (2022年1月12日 7時) (レス) @page23 id: e79cab2ce6 (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - むぅさん» むぅさん、コメントありがとうございます!書いてから少し経っているのですが、読んでくださる方がいるのが嬉しいです、、。素敵なコメントで作者も嬉しいです! (2021年2月2日 18時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
むぅ(プロフ) - とっても素敵なお話でした…読んでたら自然と一緒に涙してました。また読み返します! (2021年2月1日 19時) (レス) id: 8dd9a678ab (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - リーさん» リーさん、コメントありがとうございます。もう一度最初から読んでいただけるなんて…!長いお話なので本当にありがたいです、、!何度でも楽しんでもらえると嬉しいです! (2020年11月30日 19時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mila. | 作成日時:2020年5月2日 21時