ep.200 ページ1
.
V side
今思うと、あれは《一目惚れ》
初めてあの子を見た時、なんとも言えない衝撃と、ショックと、それからひたすらに興味を抱いた。何もかもを圧倒するようなそんな力強さはないのに、ぐわりと心を持っていかれる感覚。
華奢で
弱々しく見えて
甘くて
すずらんのような。
画面越しに見た時から分かってたけど、その子は「女のコ」で、僕達からしたら初めてできた女の子の後輩なのに誰も気がついてなくて。みんな彼女を「男の子」って言うの。
“弟が出来て良かったね”って。
違うのに。この子、可愛い女のコなのに。
そう思っても僕、言葉が上手じゃなくてうまく言えなくて、そしたらいつの間にか秘密にしたくなって
初めて触れたのは、年末の会食だったよね。あまり調子が良くないのに頑張って無理してるのとか、きっとみんななんとなく気がついてた。こっそりその場を抜けた時に、僕は彼女に近づいて触れた＿＿＿
ちょっとだけ怯えるように振り返った顔と、近くで見れば見るほど、自分のこの子に対してのビビッと感が間違いじゃないってことに確信して、彼女の弱さに付け入る形で傍にいた。
でもそれは最初のことだよ。
本当に彼女が大事だから
大事にしたくて、守りたくて、頼って欲しくて、自分を受け入れて欲しくて
なんとなく避けられてたAちゃんに会いに行こうと練習室に向かったら扉が開いてて、覗き込んだらジョングクがいた
＿＿＿＿“俺、…”
ああ、
先越されるんだ、僕…
ジョングクの声聞いてそう思って動けなくなって、そしたら
＿＿＿＿“…言わ、ないで…”
「！」
お願いだから、分かってるから、その先を言葉にしないで欲しいって、Aちゃんが泣いた。ジョングクもそれでその先を言わなかったけど、でもそれは僕にも強く突き刺さって。
「…言わないで、…か」
この関係に名前をつけたくない、けど僕は彼女の特別になりたい
そんな複雑な気持ちは僕も持ってる。ジョングクも分かってて言葉にしようとしたんだ
その日の夜に、事務所前にぽつんと佇むAちゃんの背中を見つけて思った
＿＿＿僕は言葉にしない
後輩以上だけど友達じゃない、じゃあ何かって言われても名前のない、僕らの関係性。ただ、《特別》
Aちゃんと僕にしかない、特別なもの
それをお互い認識し合ってれば、今はいいんじゃないかって言い聞かせて
僕の肩で気持ち良さげに眠るAちゃんの頬を撫でて、「でもね、好きなんだ」と呟いた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1205人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さく - グクが切なくて号泣しました、、。 (2022年6月23日 21時) (
レス) @page20 id: 7083a913c1 (このIDを非表示/違反報告)
なる - すばらしかった!一気に読みました！映画にしてほしいくらい! (2022年1月12日 7時) (レス) @page23 id: e79cab2ce6 (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - むぅさん» むぅさん、コメントありがとうございます！書いてから少し経っているのですが、読んでくださる方がいるのが嬉しいです、、。素敵なコメントで作者も嬉しいです！ (2021年2月2日 18時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
むぅ(プロフ) - とっても素敵なお話でした…読んでたら自然と一緒に涙してました。また読み返します！ (2021年2月1日 19時) (レス) id: 8dd9a678ab (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - リーさん» リーさん、コメントありがとうございます。もう一度最初から読んでいただけるなんて…！長いお話なので本当にありがたいです、、！何度でも楽しんでもらえると嬉しいです！ (2020年11月30日 19時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mila.
| 作成日時：2020年5月2日 21時
