誰も「男」だなんて言ってません 4【BTS】

ep.164 ページ15

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V side


正直あの会見後僕たちは自分たちのことでもいっぱいいっぱいで、忙しくしてた。けどあの会見から何かがガラリと変わったのは確かで、すんごい騒動になったし、Rouちゃん自身が喋ってる場面がテレビにずっと映ってるくらい。

あれから1週間。


Rouちゃんはまだ活動を休んでて、公式にはAちゃんの行方は不明なままで。だってバレたらまた詰め寄るでしょ？Aちゃんの負担にならないように、って、事務所の人たちが一生懸命彼女を隠してて。

それを見て思ったの。ああ、やっぱりAちゃんって、愛される子なんだなぁって。

僕、泣くことしか出来なくて、あの時手を握ってることしか出来なくて、ジョングクみたいに揶揄えないし、ジンヒョンみたいに兄らしくなんてできなかったけど



「＿＿＿＿Aちゃん。」



暗い部屋。
ぱちん、とスイッチを入れると電気がついて 部屋が明るくなって。床にペタンと座りながら扉のとこにいる僕をびっくりした顔で見上げた


「え、Vさ、」
「みぃつけた。いひひ」
「わっ、」


きゅう、と抱き締めると大好きなAちゃんの匂いがして、慌てた声が中から聞こえる

「な、なんでここが…!?」

そう。僕達にも知らされてない、Rouの居場所。何処から情報漏れるか分からないからって、ほんの数人しか知らないの



「いひ、わかるよ。Aちゃんの居場所だもん」
「…おっぱ、…あぅ、…」
「今日はね、ただAちゃんを見つけに来たわけじゃないよ」
「へ？」


いひっと笑って

「じゃーーん！」
「！…タナ！」

しっぽを振ってタナがAちゃんの頬にすり寄る


「来てくれたの〜？んきゃ〜可愛いね〜今日も〜」
「Aちゃん、悠長にここでじゃれてる場合じゃないよ」
「？」
「“約束”、覚えてる？」
「…え、」
「ヨンタンと僕と一緒にコテージで遊ぼって約束」
「…でも！」
「だいじょーぶ！明日僕は1日休みなの。
…えーと、はいコレ、Aちゃんにあげたワンピースと、これ、靴。ちょっとハイヒールね」
「え、待っ、」
「Rouは外出禁止だけど、Aちゃんこんなとこ閉じ込めるなんて酷い〜！ってヌナたちとマネヒョンに言ったら見ない振りしてくれるって」
「えﾞ」
「だからハイ。今すぐ着替えてコテージ行くの！」


服を押し付けてタニを小脇に部屋を出る。唖然としたAちゃんが、最後にちょっとだけ笑ったのが目に入って


「…優しい世界の中で生きるべきだよね」

と僕はタニに顔を押し付けた。

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