scene.56 ページ7
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テヒョンside
「あ！忘れ物！」
ジンヒョンの部屋に置いてきちゃった、とスキップしながら戻ると、ヒョンがベッドに横たわってうたた寝をしていた
「お…」
起こさないようにそろりと入り、ヘッドフォンを取りに行くと、ふと目に入るヒョンが抱える額縁
「お？？」
そっ、とそれを手に取ると、丁寧に額装されたそれには＿＿＿＿
「…ヒョンだ…」
しかも僕らが出会った頃の。まだ20歳そこそこのジンヒョン。
どこだろう。白い湖の上で、ヒョンが両手を広げて、空を見上げている
「…んー。」
なんとなく、それがなんだかわかった気がして
額から取り出して写真をひっくり返すと
「…いひ。あたり。」
裏には
『To My Dear Friend, Kim Soekjin 』
「親愛なる…わが友人…キムソクジン、ね」
そして『swan』という小さな文字
「白鳥？」
んー。これを大事に額に入れてるあたり、ジンヒョンの宝物なんだね、
「…お？」
そしてもう1枚、ひらりと落ちてきて、それを拾い上げると
「＿＿＿わぉ。」
同じ白い湖面で、今より少しあどけなさの残るAヌナが柔らかく微笑んでいる
＿＿＿＿"ソクジンくん…っ！"
そう呼ぶような、ヌナの甘い声が今にも聞こえてきそうな。
純粋な、真っ白な、透明な、澄み切った、ヌナの笑顔。
「…こんな笑顔、できるんだね、ヌナ…」
いつも優しく、甘く笑いかけてくれるあの笑顔は、何かを押し殺しているようにも見えた
「ジンヒョンには、それを見せられてたんだね。」
Aヌナ。貴女が今、世間の間でとても話題になってるのを、僕はとても心苦しく思ってるよ
きっと貴女はそれを望んでなどいないから
ヌナの映す世界はいつだって美しい。ただそれだけなのに＿＿＿
「…テヒョナ、」
「!?」
「ヤー、人の物を勝手に触っちゃダメでしょう？」
いつの間にか起きていたヒョンが苦笑して「見ちゃった？」と
「ごめんなさい」
「情けないでしょ、それまだ大事に大事に…誰にも見せたくなくて…」
ﾊﾊｯ、ヒョンはダメでちゅね〜と戯ける
「…ヒョンは大事だったんだよね、ヌナのことが」
「＿＿＿うん。誰よりもね、」
「ずっと、ずっと、大事に想ってるんだよね。」
「…うん。出会ってから、1度もAを忘れたことはないよ」
「ヒョンは、素敵な男性だよ。」
「ヤー優しいな、テヒョンは(笑)」
僕は臆病なだけだよ…
「ずっと、好きなんだ。僕は、Aのことが。」
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mila.(プロフ) - xts9cp5sUjUGJbjさん» 感想ありがとうございます。私も実はこの作品が気に入ってるんです笑 この作品を愛読してくださり、ありがとうございました！ (2021年10月5日 17時) (
レス) id: 1554483eb9 (このIDを非表示/違反報告)
xts9cp5sUjUGJbj(プロフ) - とても…とても綺麗なお話でした。作者様の言葉選びなどがとても魅力的で、物語に吸い込まれるようでした。とても素敵な作品に出会えて幸せです。これからも応援してます、 (2021年10月1日 2時) (レス) @page50 id: a176559be4 (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - ももさん» ももさん、嬉しいコメントありがとうございます。「素敵な時間」を提供できたとしたら本当によかったです。これからも一緒にバンタンを応援できたら嬉しいです (2021年9月5日 14時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 美しい文章、と素敵な時間をありがとうございます。 (2021年8月30日 12時) (レス) id: 7a7f3f1d7f (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - まる汰さん» まる汰さんコメントありがとうございます。書いてから随分経ってもなおこうして読んでもらえて嬉しいです。ジンくんの宝石箱、、美しい表現をありがとうございます。なんだか染み入ります(笑) (2021年6月28日 20時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mila.
| 作成日時：2019年11月29日 12時
