scene.87 ページ38
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ジンside
Aは確かにだれもが認める美人さんなのに、
「うぷ、…思ってたより風強いね(笑)」
髪縛ってきて正解だったと笑う。漁船の魚臭さも、釣りの格好だって可愛らしいものじゃないし、化粧だってできなくても、彼女は昔からそういうのを一切気にしない人で、それが変わってなくて、なんだか嬉しくなる
＿＿＿＿Aに汚い場所は相応しくないと判断してしまうのはコッチが勝手に考えてることなんだよね(笑)
美人さんだから、と触れてはいけないもの扱いしてしまいがちなのは、でも仕方ないことだとも思うけど
「釣りするの初めて」
「ほんと？」
「うん。すごーい。こんな真っ暗な中船に乗るのも初めて…ふふ！」
「！」
いつになく興奮気味ではしゃいでる
その姿があまりにもあどけなくて…その、可愛くて思わず目を逸らした
だって、可愛すぎる…！
「そろそろポイントに着く頃だと思うよ」
デッキに出て、僕がエサを付けてやる。最初は見本を見せてやって、それをAも真似るけど上手くいかない
それでも
「わぁ、ソクジンくん手馴れてて凄い…」
と目を輝かすから当然心臓が跳ね上がる気がする。ああ、朝日も上がってきてAの顔もよく見えるから余計心臓に悪い…
魚がかかるまでの間、僕たちは何とも他愛のない話をした。お互い仕事の話をしなかったのは、なんとなく二人の間ではそういう話を持ち込みたくないっていう気持ちがあったのかも
風が吹いてAの髪を揺らし、朝日が瞳を輝かせた
「今日カメラは持ってきてないの？」
「え、ああ、うん。だって釣りしてたらカメラなんて回せないし…それに…」
「？」
「純粋に、楽しみたいなと思ったの」
「え？」
「近くにカメラがあるとどうしても意識がそっちに行っちゃうから…(笑)ソクジンくんとの釣りを楽しむ、それがしたくて置いてきたの」
「！」
何年ぶりかなぁ、こんなにカメラを触ってない時間があるなんてと心底嬉しそうにも見えた
「…縛られてたの。きっと。カメラが私を縛り付けてて…確かに美しい光景を撮りたいけれど、でも義務というよりももっと根幹を成すような、そんなものになってた…」
だからありがとう。
「っ、A」
「本音は今のソクジンくんも撮りたいくらいだけどね(笑)」
「え゛、あ、イヤーー僕今すっぴんだし！全然綺麗じゃな「ソクジンくんはすっぴんが1番綺麗だよ」…ぉあ？」
Aの澄んだ瞳が僕を射抜く
「私の好み、かもしれないけど…ね(笑)」
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mila.(プロフ) - xts9cp5sUjUGJbjさん» 感想ありがとうございます。私も実はこの作品が気に入ってるんです笑 この作品を愛読してくださり、ありがとうございました！ (2021年10月5日 17時) (
レス) id: 1554483eb9 (このIDを非表示/違反報告)
xts9cp5sUjUGJbj(プロフ) - とても…とても綺麗なお話でした。作者様の言葉選びなどがとても魅力的で、物語に吸い込まれるようでした。とても素敵な作品に出会えて幸せです。これからも応援してます、 (2021年10月1日 2時) (レス) @page50 id: a176559be4 (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - ももさん» ももさん、嬉しいコメントありがとうございます。「素敵な時間」を提供できたとしたら本当によかったです。これからも一緒にバンタンを応援できたら嬉しいです (2021年9月5日 14時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 美しい文章、と素敵な時間をありがとうございます。 (2021年8月30日 12時) (レス) id: 7a7f3f1d7f (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - まる汰さん» まる汰さんコメントありがとうございます。書いてから随分経ってもなおこうして読んでもらえて嬉しいです。ジンくんの宝石箱、、美しい表現をありがとうございます。なんだか染み入ります(笑) (2021年6月28日 20時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mila.
| 作成日時：2019年11月29日 12時
