真夏の白鳥 【BTS】

scene.49 ページ50

．





撮影が終わると、スタッフさんと一緒に片付けをする。メンバーの皆さんは今日はこれで仕事が終わりのようで車に乗って行った


「…ソクジンくん、」



嬉しかった。
また、あの時みたいに、彼は私を気遣ってくれた。


＿＿＿＿本当、優しい人、



「お疲れ様です、」「あー、お疲れ様ですー」

スタッフさんが帰る中、最後まで居残って作業をし、「…出よう」とスタジオを後にした時だった






「＿＿＿＿＿え。」





廊下のベンチに座っている人影




「あ、」


ゆっくり視線をこっちに向けるのは_____シュガくん


「…お疲れ。」
「っ、なんで…！もう終わりでしょう？帰って休まないと、」
「休むのはAさんの方でしょ。具合悪いくせに。」
「え、」


クイッと腕を引っ張られて、思わずシュガくんの胸に飛び込んだ。ふわっと彼の香りに包まれる


「俺が気がついてないとでも？」
「…そんなに、顔色悪く見えてた？」
「いや。単に直感。そろそろぶった倒れんじゃねーかなって、」
「！」
「ま、倒れる前に仕事で会えて良かった」


熱？と手を頬に当てられて小さく頷くと、「辛いことは全部吐き出していいんですよ」と


「…急に敬語、？(笑)」

「こういう時は年下の特権使います。甘えてください」



そう言われたらなんだか急に目頭が熱くなって、ポロと涙が溢れてしまう


「…っ、ごめ、」
「……。」
「わた、し…っ」
「ん、」
「怖い…また孤独になるのも、…自分の知らない自分が作り上げられてしまうのも…」

シュガくんは優しく涙を拭ってくれた



「…俺がいる。どんなに天才だと言われようと、AさんはAさんだし。そんで俺も同族。
正直しんどいよ、天才ミン・シュガの生む音楽が世に出る度、怖くて仕方ない。
天才、天才、って言われんのが、どんどん孤独になる気分にもなるし」

「シュガくん、」

「言葉じゃダメだな、もうわかってると思うけど、」


そう。言葉じゃない。うまく言えないけれど、彼とは何か同じものを感じる。
気持ちが分かり合える人に出会えたことに安堵感でいっぱいで。

縋り付くようにシュガくんに触れてしまった
あああ、こんなこと、絶対してはいけないのに、
自分からアイドルさんに触れるなんて、…






「とにかく体調を戻すのが先決だ。家まで送る」





シュガくんの優しさが、砂糖が溶けていくように全身に染み渡った

この小説の続きへ→←scene.48

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す