scene.46 ページ47
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飛行機の中でもホテルでも作業して、依頼先に赴いて、食事会に参加して、また作品作りをして____
ご飯を食べるのも。寝ることさえも忘れる。
でもそれは大学時代からそうだったし今に始まったことではなかったのに
「…年かな、(笑)」
微熱…なんとなく倦怠感もあるし、
それでも仕事はしなければと薬を飲んで外へ出る
「今日はインタビュー引き受けてくださりありがとうございます。写真も撮影しながらですがよろしいですか」
綺麗にメイクして頂いて、慣れないシフォンの白いワンピースを身に纏って
「Aさんはその受賞歴が素晴らしいですよね。ええと、高校時代からすでに大きなコンペで入選されて、それからずっとひっきりなしです」
まだお若いのに。
「…そんな、」
「それに驚きました。とてもお美しい方で!」
気の抜けた返事を返すと「どうしてもっとメディアに出られないんです?重宝されるでしょうし、作品だって有名になるわけですから、一石二鳥じゃないですか」
…よく言われることだった。大学時代、教授にも言われた。
《作品はもちろん、貴方はビジュアルも申し分ないのよ。アーティストとしてこれ以上恵まれた才はない。利用できるものは利用しろ》
と。
____私は売れっ子アーティストになりたかったわけじゃない…
世の中に認められたいわけでもなかった
ただ、作品を作りたかった。美しいと思ったものをカメラに収めたいと思った。私を突き動かすのは、いつもその衝動だけで…
「若くして天才!いやぁ、お会いできて光栄ですよ」
と言われるのも、居心地が悪くて
なのに結局、書いてくれた記事には“美しい天才児”という名がついて掲載されてしまった
その後夜から撮影だったBTSさんの現場を訪れると、雑誌を手にしたスタッフさんから「凄いですね!」と声をかけられた
「天才」
その言葉は、いつだって私を苦しめたの…
“君は枯渇して苦しむってことを知らないでしょ。非凡な僕たちはアイディア1つ出すにも苦労するんだよ”
同期も先輩も口を揃えて言う
「違う、のに…」
ただ楽しく映像を撮ってるだけだよ、そう言ってもうまく伝わらなくって
「同じじゃ、だめ…?」
私はやっぱり異質…?
ふと息を吐いたらぐらっと体が揺れて、いけないと必死に支える
「仕事…」
今日はBTSさんの撮影あるから…と思ったその時、ふわっと耳を塞がれて
「!」
ハッと振り返ればそこには、弱々しく笑うソクジンくんがいた
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mila.(プロフ) - eriさん» eriさん、読んでいただきありがとうございます。コメントもとっても嬉しいです。新しい作品を連載できるようになったらまたぜひ読んでください! (2022年2月26日 22時) (レス) id: 1554483eb9 (このIDを非表示/違反報告)
eri - コメント失礼致します。milaさんのこの作品のジンくんが耳を塞ぐ場面で、感動して泣いてしまいました。私自身天才でもなんでもないですがこの場面を読むと凄く心が穏やかになれます。こんな素敵な物語を書いてくださってありがとうございます!陰ながら応援しています! (2022年1月22日 1時) (レス) @page48 id: fc2e283c55 (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - ぐぅにむさん» 押し付けがましくてすみません…(笑)私自身、この作品結構お気に入りなんです、、(笑)描写がわかりやすいと言ってくださるの嬉しいです。何せモデルのバンタンがあまりに美しいので言葉にするのもやっとです…(笑)応援ありがとう!これからもよろしくお願いします (2020年8月18日 18時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
ぐぅにむ - 考えられてとっても楽しいです!mila様の作品大好きです!この作品だったらグクもいいですね。この子犬でもウサギでも赤ちゃんでもない。年下の男と思って気抜いてたら足元すくわれるのとこ好きです!これからも応援しています!mila様サランへ!(((o(*゚▽゚*)o))) (2020年8月16日 1時) (レス) id: 6734aceaf1 (このIDを非表示/違反報告)
ぐぅにむ - そしてまた約束をする からやってまいりました!おすすめと言われ読んでみたんですが。確かにジンペンにはおすすめですね!mila様の作品はなんか全体的に表現が具体的で想像がとてもしやすいです。綺麗な景色について詳しく書かれてたら、あこうかな、こうか?みたいに (2020年8月16日 1時) (レス) id: 6734aceaf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mila. | 作成日時:2019年11月9日 16時