真夏の白鳥 【BTS】

scene.19 ページ20

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＿＿＿＿ “2/28”





シュガさんとのやり取りはほぼ毎日欠かさず続いて、もう日付は3月になろうとしていた

毎回彼とのやり取りは一往復だったけど、必ず写真と、その日の日付だけがメッセージで送られてきた




「…わ、ソクジンくん(笑)」



きっと楽屋だろう。ケータリングを口いっぱいにジョングクくんに詰め込まれているソクジンくんの写真だった



「…ソクジンくんがあんな風にいじられてるの、初めてみたな」


大学時代に見た彼はただハンサムで、かっこいい人。
あんなふうにおどけてオヤジギャグ言ってるのは見たことなかった




BTSさんのMVは完成し終わって、明日これを納入して私の仕事は終わる
つまり彼らとの付き合いも、そこで終わるということ。

久々に再会できたのに、そこで終わっちゃうのはなんだか寂しい気もした







「…あれ？」


PCのメールホルダに新着の通知が入っていて、仕事の依頼かな、とクリックをした




「え＿＿＿＿＿」






《キム・ソクジン》

件名: キム・ソクジンです


本文: まだこのアドレスが生きていたら、嬉しい、です。






「…わ、…」



キーボードに置いた手が震えた。間違い、じゃないよね？悪戯じゃないよね？？



＿＿＿＿＿《まだこのアドレスが生きていたら嬉しい》




「…まだ持ってたの？すごい、(笑)」



そういえばソクジンくんはかなりアナログの人で。みんながスマホに変えていく中彼はガラケーを使っていて、メッセージのやりとりも私たちはメールだった。



そして私は、


何度携帯が変わっても彼に教えたアドレスは変えなかった。変える必要がなかったというのもあるけれど。


卒業以来なくなったやり取りだったのに。





有名になっていくソクジンくんはきっともう私のことなんて忘れているだろうと思っていたし、こんなアドレスだってとっくのとうに消えていると思っていた





「…返事、っ」







To: キム・ソクジン

件名: Re: キム・ソクジンです








本文: 生きてます。









悩んで、何度も書き直して、やっとのことで送れたのは、可愛げのないたった6文字だった。

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