真夏の白鳥 【BTS】

scene.33 ページ34

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ソクジンside


＿＿＿＿あの不穏な空気は、僕はとっても居心地が悪かった


「…ごめん、濡れたよね、」
「ううん、…袖のとこだけだよ、キムくん」

飛び出してきた僕たちは校庭の方へ歩き出していた


「ごめんなさい、私のせいで…」

「…いやぁ、何のこと？(笑)」


ってカッコつけたけどね、もう顔が熱い
一丁前にあそこから連れ出したものの、相変わらず女性の目を見て喋るってことができない、近くで見たら本当に綺麗な人だし…！


行く当てなんてなかったし、二人とも何でか外に向かって歩いていて、
夏の太陽に眩しい、と目を細めていたら
ふっと手を握られた



「ひぇ！？！？//」

「…せっかくだから、もっと濡れちゃいません？」


ふふっと笑って彼女が駆け出す




「んぎゃ！？？」

えええ！どこ行くの！？ってか、

手＿＿＿！！！




原っぱのような場所に出ると、スプリンクラーが巻かれていた
彼女はそこへ突っ込んでいって

「…あなたは、濡れていても、十分綺麗なままです」


「へ、」


「前、裏庭にいたでしょう？…カメラ、持ってなかったの、ちょっと後悔したくらいだったの、…」

「あああ、ごめん！あの時僕逃げて…」

「ふふ、気にしてないです(笑)」



シャアっと吹き出すスプリンクラーの下で一頻り水を浴びた僕たちは
べたん、と何もない原っぱで大の字になった


「イヤー、このまま乾きそうだ、この天気！」

「……キムくん、ありがとう、」

「あー、お礼を言われるようなことはしてないよ僕(笑)」

「じゃあ、



……嬉しかった。」


ふっと隣で微笑む彼女に、俺も微笑み返した
何だか心がとってもあったかい。初夏の爽やかな風が、頬を撫でてく


「ヤー、それにしても水遊び、楽しかった」

彼女も「初めてあんなことした」と笑って、



和やかな空気の中、ぴと、と僕の腕に小さな虫が止まった

「…ひぎゃうぁあああああああｯ！！！」


いいいいい、むり！本当！虫ぃ！！！！


「〜〜〜〜〜っ！！！！」

「…あっち行っておいで。」


暴れる僕の腕をパッと掴んで、優しく虫を払うAさん

「ふふ、あはは、…！」


僕の腕を掴んだままAさんが笑い出した。えええ、ちょっ、そんなに笑う？！


「あは、涙出てきちゃった、(笑)」
「ヤー、そんな笑わないでよ！」
「ごめん、ごめん、」

目尻の滴をゆっくり指で掬うとふわりと微笑んだ
このとき、僕が思うに、警戒せずに笑い合える、大学で初めての「女友達」ができたのだった

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