ep.53 ページ4
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ジョングクside
リハが終わって、猛烈な眠気に襲われた。
どたり、と倒れ込むようにソファーに横になると、ホビヒョンが気を遣って、僕にちょっかいを出そうとするVヒョンに「マンネが寝てるから、そっとしといて」と言っているのが聞こえた
と言っても、仮眠が取れたのは僅か小一時間ほどで。
よろよろと起き上がっては、メイクヌナに腕をひかれ、椅子に座らされる。
「ヤー、酷い顔だな〜」
「…ヒョンだって、」
何が面白いのか、ヒャッヒャと笑うジニヒョン。
一人別室で発声練習をし、軽くイメトレをして、大きく息を吐く。
衣装に袖を通すのも、こうして会場の廊下を歩くのも、もう慣れたものであるはずなのに。
「僕は全力でしか応えられない」
というか、ステージに立つと力を抑えてペース配分をする、という賢いことができなくなるのだった。
あの熱量と、あの美しい光景と、あの歓声に包まれたが最後。
僕は、100を出し切ることが、僕にできる全てになるから
「っ、♪」
激しいダンスを踊り、想いを込めて歌い上げる。
想いが、届きますように、と。
___ぐら、
「…あ、…」
衣装チェンジで捌けるとき、ふらりとよろけた。すかさずスタッフが腰を支えてくれて、なんとか裏に歩いていく。
____痺れてる
全身の力が情けなく抜けて、自分の体じゃないみたい
「ジョングク、これ吸って!」
「ッ、」
酸素を吸入して、全身の血に送る。グラグラ視界は揺れてた。
スタッフの声が遠くに聞こえる。
_____あと1分です…!
「……、…行きます、」
立ち上がるともはや自分一人で歩けない体を、細いスタッフさんが支えてくれた。
あれ、なんか、
落ち着く。
____ジョングクさん、
顔は見えないけれど、支えてくれたスタッフさんの声が、ゆっくり僕の耳に届いて染み渡る
すると「目を閉じててください」というその優しく甘い声が響いた。
ふわりとしている意識の中で、
「…っ、」
頬を両手で挟まれたことはわかって。
ああ、気持ちがいい。
____無理は許します。でも、無茶はしないで
その言葉の意味を理解できたときには、すでにステージで僕は踊っていた。
そこではファンの方の歓声を浴びて、僕が僕らしく輝いていた。
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mila.(プロフ) - 月のひかりさん» 他の作品でもコメントくださりましたよね、ありがとうございます、、!嬉しいです。気ままに更新頑張るので、楽しみにしていただけると嬉しいです! (2019年11月22日 23時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - りんかさん» りんかさん。コメントありがとうございます。返信遅れてごめんなさい、、とっても嬉しいです!誰と結ばれるのか、楽しみに待っててもらえると嬉しいです。続編に移行しましたので、今後もお付き合いくださると幸いです(^^) (2019年11月22日 23時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
月のひかり(プロフ) - あーーもう本当に大好きです、このお話!!! (2019年11月20日 22時) (レス) id: 29553fe515 (このIDを非表示/違反報告)
りんか - 主人公はテヒョンと結ばれるのですかそれともそれとも、、うぅ、、続きが常にきになります!これからも楽しみにしています^_^mila.さんのペースで更新頑張ってください! (2019年11月20日 21時) (レス) id: b1eff33979 (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - めぐさん» めぐさん、ありがとうございます。とても嬉しいです。楽しみにいていただけるよう、更新頑張りますね! (2019年11月20日 2時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mila. | 作成日時:2019年11月1日 8時